建設業許可の申請について調べると「業種追加」や「般・特新規」など色んな申請区分が出てきて、一体自身がどれを申請すればよいかわからないという悩みに陥ることがあります。本記事では許可の申請区分について、それぞれの違いを正しく理解し自身のするべき申請区分がわかるよう、どこよりも詳しく解説していきます。
本記事のポイント
建設業許可の申請区分は全部で5つ
申請内容や目的に応じて区分が変わる
申請区分によって手数料などが変化
建設業許可の申請区分について
「建設業許可の申請」と一口にいっても、その目的は「新しく許可を取る為」や「今持っている許可を更新する為」など様々です。建設業許可の申請は、その目的に応じて5つの申請区分が設けられています。実際に許可を申請する際には、まずその5つの区分の中から、自社の申請目的に合った申請区分を選択する必要があります。この申請区分によって、審査される項目や提出する書類が決まり、また正しい申請区分で申請がされなければ役所が申請を受理してくれないので、申請区分の判定はとても重要な作業になります。
①新規
②許可換え新規
③般・特新規
④業種追加
⑤更新
区分①「新規」
新規は名称の通り「現在有効な許可をどの行政庁(都道府県や国のこと)からも受けていないものが許可を申請する場合」に適用される区分です。初めて許可を申請する業者や、過去持っていたことがあるけど今は失効して許可がない業者などが許可を申請する場合はこの新規の区分になります。
つまり申請時に許可を持っている業者はこの「新規」に該当することはなく、次に説明する4つの区分のどれかに該当します。
区分②「許可換え新規」
許可換え新規は「現在許可を受けている行政庁以外の行政庁に対し、新たに許可を申請する場合」に適用される区分です。これは、今持っている許可取る際に許可申請をした行政庁とは、違う行政庁に申請をするケースなので、具体的には下記のようなケースが該当します。
A県知事許可の保有業者がB県知事許可を申請するケース
営業所の移設に伴いB県の許可が必要になった場合が考えられます
建設業許可の申請先は各都道府県知事や国土交通大臣になりますが、具体的な申請先は会社の営業所の場所や数で決まってきます。これは許可を取ったあとに営業所に関する状況が変わった場合、現状の状況に合わせて許可を取り直す必要があるため、そのケースを想定し許可換え新規という区分が用意されています。
区分③「般・特新規」
般・特新規は「一般建設業の許可のみを受けている者が新たに特定建設業の許可を申請する場合、又は特定建設業の許可のみを受けている者が新たに一般建設業の許可を申請する場合」に該当する区分です。具体的には下記のようなケースです。
管工事業(一般)の保有業者が管工事業(特定)を申請するケース
もともと一般で許可を取っていたが特定取得の条件を満たした為切り替えたい場合などが考えられます
建築工事業(特定)と管工事業(特定)の保有業者が内装工事業(一般)を申請するケース
本業の専門業種とは別の業種の工事も請け負いたい場合などが考えられます
なお、一般建設業と特定建設業の違いを詳しく知りたい方は「特定建設業とは?一般建設業との違いも分かりやすく解説!」を参照ください。
区分④「業種追加」
業種追加は「一般建設業の許可を受けている者が他の建設業について一般建設業の許可を申請する場合、又は特定建設業の許可を受けている者が他の建設業について特定建設業の許可を申請する場合」に該当する区分です。つまり、すでに持っている許可区分(一般か特定)と同じ許可区分の業種を追加する場合はこの業種追加に該当します。具体的には下記のようなケースです。
管工事業(一般)の保有が、電気工事業(一般)を申請する場合
建築工事業(特定)と管工事業(一般)の保有業者が、内装工事業(一般)を申請する場合
般・特新規と間違いやすいですが、持っている許可区分(一般か特定か)と同じ区分で申請する時は業種追加、違う区分で申請する時は般・特新規と覚えればOKです。
区分⑤「更新」
更新は「既に受けている建設業の許可を、そのままの要件で続けて申請(更新)する場合」に該当する区分です。許可には有効期限があるため、期限の満了日以降も許可を維持したい場合は、この更新の申請をする必要があります。ちなみに許可の有効期限は5年ですので、許可を維持し続けたい場合は5年に一度のペースで更新の申請をしなければいけません。
建設業許可の申請区分一覧
ここまで説明した申請区分を一覧にしました。それぞれの区分について詳しく解説したページを見たい方は区分名の下のリンクを押していただければ各詳細を見ていただくことが可能です。なお、「般・特新規」「業種追加」「更新」はそれぞれ同時に申請することが可能です。
申請区分 | 該当要件 |
新規 | 現在許可を受けていない者が許可を申請する場合 例)許可なし⇒管工事業 |
許可換え新規 詳しい解説を見る | 現在許可を受けている行政庁以外の行政庁に対し新たに許可を申請する場合 例)管工事業(知事許可)⇒管工事業(大臣許可) |
般・特新規 詳しい解説を見る | 一般建設業許可のみを受けている者が新たに特定建設業許可を申請する場合、又はその逆 例)管工事業(一般)⇒管工事業(特定) |
業種追加 詳しい解説を見る | 現在保有する許可区分(一般・特定)と同じ許可区分で保有していない業種を追加申請する場合 例)管工事業(一般)⇒管工事業(一般)+塗装工事業(一般) |
更新 詳しい解説を見る | 既に受けている建設業の許可を、そのままの要件で続けて申請(更新)する場合 例)管工事業(一般)⇒管工事業(一般) |
申請区分による申請実務上の違い
申請区分によって申請実務上の違いはなにがあるのでしょうか?主な違いは「必要な申請書類」「申請手数料」「許可番号の引継ぎ」の3つになります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
必要な申請書類が変わる
申請区分によって提出する書類の種類や数が変わってきます。「新規」と「許可換え新規」はどちらも許可を与える行政庁からすると、過去に審査したことが無い業者が申請してくることになるので、確認する事項が多く、申請区分の中ではこの2つが一番提出する書類が多いです。
「般・特新規」「業種追加」「更新」の3区分はさきほどの2区分と比較すると、行政庁が確認する項目がいくつか省略されるため、提出書類も少しだけ少なくなります。ただ、どの申請区分であっても新規で許可申請をすることにかわりなく、審査する行政庁は許可を与えるにふさわしい業者かきちんと審査するため、申請上の手間や労力にそこまで大きな差はないと考えておいた方が良いでしょう。
申請手数料が変わる
許可申請をするには、申請手数料を行政庁に支払う必要があります。この手数料の金額が申請区分や許可区分(知事許可か大臣許可か)によって下記の通り変わってきます。
申請区分 | 知事許可 | 大臣許可 |
新規 | 9万円 | 15万円 |
許可換え新規 | 9万円 | 15万円 |
般・特新規 | 9万円 | 15万円 |
業種追加 | 5万円 | 5万円 |
更新 | 5万円 | 5万円 |
なお、大臣許可の新規申請(新規・許可換え・般特)については「登録免許税」という扱いになります(その為手数料がやや高い)。他の区分では、手数料は申請行政庁に対して支払いますが、この「登録免許税」は税金扱いなので支払先が税務署になります。そのため、行政庁への支払いは収入印紙を使用するケースが多いですが、この「登録免許税」は税務署にまず現金で支払い、その領収書を申請行政庁に提出する形をとります。この2つの細かい違いを覚える必要は全くありませんので、大臣許可の3区分(新規・許可換え・般特)は手数料の納付方法が他と違うとだけ覚えておきましょう。
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【補足】複数業種の同時申請は手数料1回分でOK
同じ申請区分の範囲であれば、同時に複数業種を申請しても手数料は1回分しかかかりません。
業種追加で管工事業(一般)を申請⇒5万円
業種追加で管工事業(一般)と塗装工事業(一般)を申請⇒5万円
ただし、その複数業種のなかに、一般建設業と特定建設業が含まれる場合はそれぞれに手数料がかかることになります。
業種追加で管工事業(一般)と塗装工事業(一般)を申請⇒5万円
業種追加で管工事業(一般)と塗装工事業(特定)を申請⇒10万円
【補足2】複数の申請区分を同時申請する場合
「般・特新規」「業務追加」「更新」の3つの申請区分については、同時に申請することが可能です。ただし、その場合は組み合わせた申請区分ごとの手数料がかかります。
管工事業(一般)の保有業者が、塗装工事業(一般)を申請
=業種追加となり5万円
管工事業(一般)の保有業者が、建築工事業(特定)と塗装工事業(一般)を申請
=般・特新規+業種追加となり14万円
許可番号の引継ぎ有無が変わる
申請区分 | 許可番号 |
新規 | 新たに付与 |
許可換え新規 | 新たに付与 |
般・特新規 | 現行番号を引継ぎ |
業種追加 | 現行番号を引継ぎ |
更新 | 現行番号を引継ぎ |
許可申請でお悩みの方は
建設業許可の申請でお悩みの方は、建設業許可を専門にしている行政書士に申請を代行してもらう方法があります。行政書士に依頼することで下記のようなメリットもあります。
行政書士に代行してもらうメリット
・申請を丸投げできるので業務に専念できる
・建設業法や許認可についての相談窓口ができる
・許可取得にかかる期間が短縮できる
当サイトを運営する建設業許可申請に専門特化した「イロドリ行政書士事務所」も申請代行サービスに対応しておりますので、許可申請を依頼したいという方はぜひ一度以下からご相談頂ければと思います(相談は無料です)。
建設業許可の申請区分についてまとめ
以上、ここまで建設業許可の申請区分についてご紹介しました。
申請区分の判定は許可を取る際に非常に重要になります。ただしその判定は専門家でも判断を間違うほどややこしいケースも存在します。判断に迷った際は、申請先の役所や専門の行政書士に相談されることをオススメします。