建設業で起業!個人事業主と会社設立どちらが良いのか?

「建設業を始める予定なんだけど、個人事業でした方が良いのか、会社を作ってした方が良いのかどっち?」

建設業で起業や独立をお考えの方から、こういったご質問をよく頂きます。

これはケースバイケースで絶対にどちらが良いという事はありません。

大切なことはそれぞれのメリット・デメリットを理解した上で自分にとってベストな方を選択する事です。

このページでは個人事業主と会社設立のそれぞれの特徴を徹底的に比較して、皆さんが取るべき選択肢をどこよりもわかり易く解説していきます!

・建設業で起業、独立を考えている方!
・建設業を個人事業でしていて法人化を考えている方!

会社(法人)と個人事業主の特徴を比較

まず最初に、会社(法人)と個人事業主の特徴を各項目ごとに比較していきましょう。

ざっとそれぞれの特徴を見て頂いてから、それぞれのメリットデメリットを細かく解説していきます。

個人事業主会社(法人)
対外的信用会社に比べると低い個人事業主に比べると高く
資金調達や人材確保で有利
設立の手間定款作成や登記が不要
役所への開業届の提出で開業可
定款作成と登記が必要
費用が20万円程度かかる
税金所得税(税率は5%~45%)法人税(税率はおよそ15%~25%)
事業継承建設業許可は引き継がれない建設業許可は引き継がれる
事業年度
(決算期)
1月から12月自由に選択可能
赤字の繰越翌年以後3年間の黒字金額から控除可翌年度以後10年間の黒字金額から控除可
代表者給与経費にならない経費になる
※会社から役員報酬として受取可
節税対策
(経費項目)
会社に比べると少ない個人事業主に比べると多い
社会保険原則5名までは社会保険加入は任意
※事業主は加入不可
社長1人の会社でも社会保険加入は義務
責任無限責任有限責任

ではここからは会社と個人のそれぞれの良さを見ていきましょう!

会社設立(法人化)のメリット

それではまず会社設立のメリットを見ていきましょう。

会社設立のメリット

①対外的信用度が高い
②事業継承時に建設業許可が引き継がれる
③収入次第では税金が安くなる
④節税面での優遇が多い

メリット① 対外的信用度が高い

会社設立のメリットはなんといっても信用力が増す事です。

会社はその存在が法務局に登記されますし、やはり世間的にも「個人より会社の方がなんとなく信用できる」というイメージを持たれます。
工事を受注しなければ仕事が始まらない建設業者にとって、この信用度というのは極めて大切です。
個人事業主でも能力があれば仕事を取れる世界ではありますが、そこまで対外的な信用度を得るには時間がかかります。

また信用度は、資金調達の際や、人材を採用する際にも大きなメリットとなります。
個人事業ではなく会社設立する最大のメリットはこの信用力の増大が何よりも大きいと考えます。

メリット② 事業継承時に建設業許可が引き継がれる

建設業許可を検討される場合はこの理由だけで会社設立を選択する理由になるほど、非常に大きなメリットです。

建設業許可は個人が取る場合、その個人に対して許可が与えられる為、事業継承されて事業を個人間で受け渡した場合、その許可は引き継がれません。
そうすると、また新しく許可を取り直さないといけず、許可申請にかかる手数料(9万円~)が再度かかります(これは個人から法人成りする場合も同じです)。
一方で会社として建設業許可を取った場合は、その会社に対して許可が与えれられる為、事業継承された場合も、会社が存在し許可要件を満たしている限りは、許可は引き継がれます。

許可取得も検討されている場合は、会社設立してから許可申請されることをオススメします。

メリット③ 収入次第では税金が安くなる

事業の収益が大きい場合、儲けにかかる税金が会社設立の方が安くなる可能性があります。

事業で儲けたお金には税金がかかりますが、個人の場合は所得税が、会社の場合は法人税がかかります。
所得税の税率は儲けた額に応じて5~45%と幅が広いのに対して、法人税は2区分しかなく15%か23.4%になります(事業開始年度により若干異なります)。
そのため、例えば事業の儲けが年間2,000万円以上ある場合、所得税だと45%と約半分を税金で持っていかれますが、法人税の場合23.4%しか持っていかれませんので、税金が大幅に安くなります。

事業の稼ぎが大きい方は、迷わず会社設立を選択されるのが良いと思います。

メリット④ 節税面での優遇が多い

節税面でも会社は個人に比べメリットが多いです。

会社は経費として認められる支出が個人に比べて多く、その分所得からガンガン控除できる為、節税面での優遇が多くなります。

例えば、社長の給料も経費として計上できますし、家族の給与、役員退職金、従業員の社宅、出張費(日当)等々、個人では経費になりにくいような支出も経費になります。

会社設立(法人化)のデメリット

反対にデメリットは設立時の手間や費用が掛かる点があげられます。

個人事業主の場合と異なり、会社設立の場合は定款認証や設立登記をする必要があり、初めての方ですとかなりの手間がかかりますし、それぞれに費用も掛かってきます(定款認証費用と登録免許税で20万円程度かかります)。

また会社の場合は例え赤字決算だとしても法人税を支払わなければならないデメリットもあります(7万円程度)。

個人事業主のメリット

それでは次に個人事業主のメリットを見ていきましょう。

個人事業主のメリット

①開業の手間が少なく設立費用が0円
②収入によっては税金が安い

メリット① 開業の手間が少なく設立費用が0円

個人事業主であれば、起業は開業届を役場に提出すれば完了です。

大抵の場合は即日で開業が可能ですので、会社設立と比べて圧倒的に手間がかかりません。

また、会社設立のように定款認証費用や登録免許税もかからない為、設立費用0円で開業できるのも大きなメリットです。

メリット② 収入によっては税金が安い

所得税は事業の儲けによって税率が変わりますが、一番低い税率(課税所得が195万円以下)は5%しかかかりません。

一方、法人税は15%か23.4%の税率区分しかない為、事業の儲けが少ない場合は、個人事業主の方が税金が安くてすみます。

個人事業主のデメリット

個人事業主のデメリットは先ほど解説した会社のメリットの裏返しということになりますが、やはり最大のデメリットは信用度が会社に比べて低いという点だと考えます。

信用度という点ではやはり会社が圧倒的に優位ですので、仕事の受注や資金調達(銀行融資など)、人材採用などの様々な点で会社より不利であることは否めません。

また建設業許可を検討されている場合は、事業継承や法人成りすると許可を取りなおさないといけないのも大きなデメリットと言えるでしょうか。

会社設立と個人事業主は結局どっちが良いの!?

ここまで会社設立と個人事業主のメリット・デメリットをお話してきましたが、「結局どっちが良いのか決めきれない!」という方のために、判断基準となるポイントをご紹介します。

 こんな方は会社設立がオススメ!

・会社(法人)を優先的に発注する取引先が多い
・事業において何より信用度を重視にしている
・事業の1年間の儲けが900万円を超えそうだ
上記のどれか1つにでも該当する方は会社設立をオススメします。
課税所得が900万円を超えるような事業規模の場合は、税金面のメリットが節税面も含め会社(法人)の方が大きくなるケースがほとんどです。
「儲けがいくらになったら法人の方がお得なのか?」は節税面の効果が事業の実態によって異なる為、一概にいくらからと言えませんが、330万円以上儲けがでている場合は、一度税理士さんに相談してみるのが良いと思います。

 こんな方は個人事業主がオススメ!

・初期費用をできるだけ安く抑えたい
・事業の1年間の儲けが330万円以下になりそうだ

上記に該当する方は個人事業主をオススメします。

まずは費用をかけずに小規模で始めたいという方は、個人事業主から起業することをオススメします。

建設業で起業!個人事業主と会社設立どちらが良いの?まとめ

以上、建設業で起業する場合、個人事業主で開業するか、会社を設立するか、どちらが良いのかについてご紹介してきました。

建設業許可の取得や将来的な事業の拡大を考えているのであれば、会社設立をされて起業する方が、長い目で見た時にメリットが多いと考えます。
ご自身の目指す事業と照らし合わせて、どちらを選択するべきかしっかり考えてみて下さい。

また会社設立を選択された場合、会社の形態を「株式会社」にするか「合同会社」にするかの2つの選択肢があります。
2つの違いやどちらを選択するべきか知りたい方は下記記事に答えを書いていますので参考にして下さい。

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