建設会社の作り方!失敗しない建設業の会社設立方法を徹底解説!

「建設会社を作って起業したい!」
「個人事業主から法人化して会社組織にしたい!」

事業拡大や事業継承など、様々な理由で建設会社を設立したいというご相談は多く頂きます。
その中で一番多いのが「建設会社ってどうやって作るんですか?」というご相談です。

実は会社設立は、皆さんが想像されるほど難解な手続きは意外とありません。
しかし、建設会社の設立の場合は、専門家でも見落としがちな、注意しなければならないポイントがいくつかあります。
例えば、建設業許可の取得を同時に検討されている方がほとんどかと思いますが、会社設立の際にその点を考慮しなかった場合、許可が下りない立て付けで法人登記をしてしまう可能性もあります。

本ページでは建設会社の設立で失敗しない為に、注意しなければならないポイントも交えて、どこよりもわかり易く会社設立の方法をご紹介します!

・建設会社を作って起業したい方!
・建設業を営む個人事業主で法人化を検討されている方!
・建設業許可の取得と同時に法人化を検討されている方!

会社設立(法人化)の流れ

ではまず最初に会社設立手続きの流れ見てみましょう。

なお、本記事で紹介する方法は「株式会社」の設立方法になります。
※合同会社の設立方法はもっと簡単なものになります

 株式会社と合同会社の違いについて

会社設立の流れ

①基本事項を決める
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②個人(発起人、取締役)の実印の印鑑証明書を取得する
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③会社の実印(代表者印)を作成する
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④定款を作成する
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⑤公証役場で定款認証を行う
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⑥資本金を払い込む
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⑦登記申請書、他必要書類を作成する
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⑧法務局で登記申請を行う(申請日が設立日となる)
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⑨1週間程度で登記が完了

それでは各手順をもう少し詳しく紹介していきます。

①基本事項を決める

会社を作るにあたってはまず下記の基本事項を決めましょう。
会社設立は、ここで決めた内容を定款や登記に落とし込み、それらの公的な認証を得るというのが、おおまかな流れになります。

商号

会社の名前の事です。
「株式会社」という文字を必ず入れる必要があります(いわゆる前株か後株かを選びます)。
※合同会社の場合も同様に「合同会社」の文字が必須

なお、商号は同一住所に同一名称を登記する事は認められません。
住所が違えばOKですが、同じ地域に同じ商号の会社があると色々と弊害が起きる可能性もあり出来れば避けたいところです。
建設会社は似たような商号になりがちですので、つけたい商号がすでに存在していないかを事前に確認する方が良いでしょう。
※国税庁の「法人番号公表サイト」(外部サイト)で調べる事が可能です。

事業目的

会社が行う事業内容に関する事で、会社はこの事業目的の範囲内でしか活動できません
この事業目的は定款や登記に記載され、内容を変更・追加する場合は、登記申請や定款変更の手続きをする必要がありかなり手間になります。
そのため、事業目的は、将来的に行うかもしれない内容も含めておくようにしましょう

また、業目的の最後に「前各号に付帯または関連する一切の事業」を追加しておく事で、新しい事業を始める場合でも、目的に関するものであれば定款を変更しなくて良くなります。

 建設業許可を申請する場合の注意点!その1

建設業許可を申請する方は、取得予定の工事業種を目的の中に必ず記載しておく必要があります。
そうしなければ許可がおりませんので、定款を変更しなくてはならなくなります。

記載方法としては、取得したい工事業種を直接記載する方法があります。
左官工事業を取る予定であれば「左官工事業」と事業目的の中に記載があればOKです。
目的に記載しても、必ずその事業を行わなければいけないという事はありませんので、将来とるかもしれない業種に関しても後から定款変更の手間がかからないよう、最初から記載しておくと良いでしょう。

自治体によっては複数業種を包括する書き方を認めているケースもありますので、申請先の手引きを確認してみましょう。
例えば大阪府の場合、事業目的に「建設業・土木建築工事 」の記載があれば全29業種を包括していると判断してもらえます。

本店の所在地

会社の住所がある場所の事です。
必ずしも本店において事業活動を行う必要はなく、代表者の住所を本店と、別の場所に事務所を借りて事業活動を行う事も可能です。
定款への記載は町名地番は記載せず「○○県○○区」などの最小行政区画まででOKです。
※登記には町名番地まで記載が必要です

 建設業許可を申請する場合の注意点!その2

建設業許可を取得する為には、営業所に関する要件を満たしていなければなりません。
会社を設立するだけであれば、バーチャルオフィスや自宅でも問題ありません。
ただし、建設業許可を取得するには、最低限の建設業の契約実務を行える営業所が必要ですので、バーチャルオフィスは認められませんし、自宅の場合は生活スペースと明確に区切られた事務スペースがないといけません。
※各自治来によってそれぞれ定められていますので、申請先の手引きを確認しましょう

事業を行う事務所が本店のみの場合は、建設業許可の要件をクリアした事務所であるかは注意が必要です。

設立に際する出資額及び、設立後の資本金額

会社を作るには資本金が必要ですが、資本金額は1円から作ることができます。
ただし資本金額は会社の信用面に関わりますので、安易に安い価格で設定する事は避けましょう。
また定款作成時には最低出資額が決まっていれば問題ありません(登記申請時は資本金額が決まっている必要があります)。

 建設業許可を申請する場合の注意点!その3

建設業許可の取得要件に「資本金が500万円以上」という条件がありますので、許可取得を考えている場合は資本金を500万円以上に設定する事をオススメします。
ただし資本金が500万円未満であっても、500万円以上の手持ちがあれば問題ないため(口座の残高で証明可能)、資本金500万円以上は必須というわけではありません(申請時の証明が楽というメリットがあります)。

一方、特定建設業許可を申請する予定がある場合は、資本金2,000万円以上が許可取得の絶対要件ですので、それ未満の資本金額を設定しないようにしましょう。
また特定建設業の許可要件には「自己資本額4,000万円以上」という条件もある為、会社設立後すぐに許可を取りたい場合は、資本金額を4,000万円以上にする必要があります(かなりレアなケースだとは思いますが)。

 特定建設業許可とは?わかり易く解説!

発起人

発起人とは、会社設立時における出資者のことで、会社の設立手続きはすべてこの発起人が行います。
そのため、最低でも1人以上は発起人を立てないと会社の設立は出来ません(人数に上限は無し)。
発起人は最低でも1株以上保有する義務がありますので、設立後は株主という立場になります。

発行可能株式総数と設立時発行株式数

資本金の額を決めたら、次に1株あたりの価格と設立時発行株式数を決めます。
また、発行可能株式総数という、会社が将来的に発行する事が可能な株式数の枠(上限)を設定します。
将来増資をしようとした際、この枠内でしか増資が出来ませんので慎重に検討しましょう(設立時発行株式数の10倍程度が相場と言われますが、事業が拡大路線なのか現状維持なのかによっても変わってきます)。
定款には発行可能株式総数を、登記には両方を必ず記載しなければなりません。

なお、公開会社の場合は、発行可能株式総数を設立時発行株式数の4倍以上に設定する事はできません。
ただし、新規で設立する会社は非公開会社のケースが多いので、あまり考慮する必要はありません。
発行する全ての株式に譲渡制限がついている会社を非公開会社と言います

1株あたりの価格は会社が自由に設定できます。ただ、少し前までは1株5万円以上というルールが存在した為、その名残で1株5万円に設定している会社は多いです。現在は計算が容易であるという理由で1株1万円に設定するケースが多いようです。

役員に関する事項

役員とは取締役や監査役の事を指し、会社を所有する立場である株主と違い、会社を運営する立場にあります(ただし中小企業等では株主と役員が同一人である事はよくあります)。
株式会社を設立するには最低でも1人以上、取締役を立てなければなりません。
※監査役の設置は任意(取締役会を設置する場合は必須)

この役員に関する事項(氏名や住所)は登記に記載が必須になります。
誰を何人役員に据えるかや、取締役会を設置するかなど、会社の経営体制を決める大切な項目になります。

なお、役員には任期があり、原則として取締役は2年、監査役は4年となっていますが、非公開会社については、両者の任期を最長10年まで伸ばす事ができます(定款へ記載が必要となります)。
※合同会社の場合は、役員の任期はありません

 建設業許可を申請する場合の注意点!その4

建設業許可を法人が取得するには、常勤の役員のうち1人以上が、建設業の経営経験5年以上有する事を求められます。
※この許可要件を経営業務の管理責任者と言います。

許可を取得したい場合は、必ず建設業の経営経験が5年以上ある人物を役員に入れるようにしましょう。

 経営業務の管理責任者とは何か? 

また、同じく役員の中に欠格要件に該当する者がいた場合も許可は取得出来なくなります。
欠格要件に該当している事がわかっている者は役員に含めないようにしましょう。

 欠格要件とは何か?

事業年度と決算日

事業年度とは、決算日の翌日から次の決算日までの期間を指し、会社は1年以内であれば事業年度を自由に設定する事が出来ます。
※創立初年度は会社設立日から決算日までが事業年度になります
そのためルール上は1年に複数回決算日を設ける事も可能ですが、事務負担等を考慮し、決算日は1年に1回、事業年度は1年間に設定するのが一般的です。

会社設立から1期目と2期目は通常消費税がかからない期間(免税事業者期間)になる為、1期目が出来るだけ長い期間になるよう、決算日を会社設立日から出来る限り離して設定すると免税という観点ではメリットがあります。

②個人(発起人、取締役)の実印の印鑑証明書を取得する

①で決めた発起人と取締役についてそれぞれ実印の印鑑証明書を取得します。
市区町村の役所に印鑑を登録する事を印鑑登録といい、登録された印鑑を実印と呼びます。
印鑑登録をすると、印鑑証明書を取る事ができます。

発起人の実印と印鑑証明書は定款作成時に、取締役は登記申請時に必要になります。
まだ印鑑登録が出来ていない場合は速やかに行いましょう。

③会社の実印(代表者印)を作成する

次に会社の実印(代表者印とも呼ばれる)も作成します。
会社も法人格という人格が与えられますので個人を証明する為に印鑑が必要になります。

会社の実印も印鑑登録が可能ですが、個人の場合と異なり本店所在地を管轄する法務局に申請します。
印鑑登録は登記申請時に一緒に行いますので、登記申請時には押印出来るよう実印があればOKで、印鑑証明書は不要です。

法人の印鑑と言えば「実印」「銀行印」「角印」の3つがセットで言われる事が多いですが、会社設立手続きで必要なものは「実印」になります。
ただし、銀行印は法人名義の銀行口座開設に必要になり、角印は見積書や請求書、領収書等、実務では最も使用する印鑑になります。
そのため、法人の実印を作成する際は上記3つを合わせて作成すると効率的です。

印鑑証明書の取得方法
個人は市区町村の役所、会社は管轄の法務局に印鑑登録をすると「印鑑登録証(印鑑カード)」が交付されます(申請が必要)。
その印鑑登録証を窓口で提示し申請すれば「印鑑証明書」を発行してもらえます。

④定款を作成する

定款とは、会社の法律のようなもので、設立時に発起人が必ず作成しなければなりません。
①で決めた基本事項を記載していきますが、定款に記載する事項は、「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つに分けられます。

絶対的記載事項

定款に必ず記載が必要な事項を絶対的記載事項と言います。
記載漏れや違法な内容であった場合、その定款が無効になります。
以下の5つ(発行可能株式総数を含めると6つ)が該当します。

・目的
・商号
・本店の所在地
・設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
・発起人の氏名または名称及び住所
※発行可能株式総数は会社設立時までには記載が必要です

相対的記載事項

定款に記載する事ではじめて法的な効力を持つ事項を相対的記載事項といいます。
絶対的記載事項とは違い、定款に記載がなくてもその定款は有効とみなされます。
ただしせっかく決めたルールも法的効力が無ければ意味がないので、きちんと記載するようにしましょう。
以下のような事項が該当します。

・現物出資
・財産引受
・発起人の報酬
・設立費用
・株式の譲渡制限に関する規定
・株主総会の招集に関する規定
・役員任期の伸長
・設立時発行株式数 など

任意的記載事項

上記2つ以外の事項を任意的記載事項といいます。
これらは会社法や公序良俗に反しない限り、自由に定める事が可能で、たとえ定款に記載がなくても法的な効力に影響はありません。

任意的記載事項を記載するメリットとしては、社内ルールが外部に対して明確化できる点と、記載した内容を変更する場合、定款変更の手続き(株主総会の特別決議)を取る必要が出てくる点です。
以下のような事項を記載されることが多いです。

・事業年度
・定時株主総会の招集時期
・取締役の監査役の人数権限
・役員報酬の決定方法
・取締役会の招集者 など

⑤公証役場で定款認証を行う

④で作成した定款は、公証役場で認証を受ける必要があります。
※合同会社の場合は不要です。

認証は本店所在地を管轄する法務局または地方法務局所属の公証人が執務します。
作成した定款の内容を公証人が確認し証明する事を認証といい、認証を受ける事で定款ははじめて法的な効力を持ちます。

定款認証の流れ
①認証を受ける公証役場を決める
会社の本店の所在地を管轄する公証役場で行う必要があります。
日本公証人連合会(外部ページ)」のHPから管轄の公証役場を探し、該当する公証役場に定款認証のアポイントを取りましょう。

②事前に定款の内容をチェックしてもらう(推奨)
認証時にその場で訂正不可な不備が見つかった場合、再度公証役場に出向くのは二度手間ですので、事前に定款をFAXし内容をチェックしてもらう事をおすすめします。認証を受ける日が確定したら(事前のアポイントが必要)、その日までに事前チェックを公証役場にお願いしましょう。

③発起人が全員参加のうえ公証役場で認証
認証を受けるには、公証役場に発起人全員で行く必要があります(委任状を作成すれば第三者が代理人となることも可能)。
定款の内容に問題がなければその場で受理され認証完了となります。

なお、定款認証時に公証役場に持参が必要な書類は下記の通りです。

①押印済みの定款:3通
②発起人全員の印鑑証明書:各1通
③発起人全員の実印(消印・不備修正用)
④収入印紙:4万円分
⑤定款認証手数料:5万円
⑥謄本の交付手数料:2,000円程度
※以下代理人を立てた場合に必要
・委任状
・代理人の印鑑証明書と実印

電子定款を利用すると費用が安くなる

電子定款とは、従来からの紙ベースの定款ではなく、PDF化した電子データでの定款の事です。
現在、定款認証で作成する定款は、従来の紙ベースの定款と電子定款のどちらかを選べます。

電子定款を利用する最大のメリットは、収入印紙が不要になる為、収入印紙代の4万円が削減できる点です。
ただし、電子定款を実施するために導入が必要なソフトなどを一式揃えると通常4万円以上の費用がかかるため、会社設立を専門で請け負っている行政書士や司法書士に依頼するのが一般的です。

また、電子定款を利用したとしても、すべての手続きがインターネット上で完結するわけではなく、申請後に公証役場で定款を受取りに行く必要があります。

⑥資本金を払い込む

定款認証が完了すれば次に資本金の払込みを行います。
※資本金の払込みは、原則定款の認証日以後でなければいけません。

資本金額を発起人の個人口座に入金するだけで払込みは完了します。
発起人が複数いる場合は、代表者の個人口座に各発起人が入金するれOKです。
その際、振込者がわかるよう、預入ではなく振込で入金するよう注意が必要です。
※発起人が1人の場合は預入で問題ありません

なお、口座は新しく解説する必要はなく、すでに発起人が使用している銀行口座でOKです。
振込みが完了すれば、払込証明書を作成し、払込みが確認できる通帳コピーと共に登記申請時に提出します。

⑦登記申請書、他必要書類を作成する

資本金の払込みまで完了すればいよいよ登記作業に移ります。
登記申請に必要な書類として下記を作成・準備します。

①登記申請書
②登記すべき事項(磁気ディスク)
③登録免許税納付用台紙
④定款
⑤発起人の決定書
⑥取締役の就任承諾書
⑦代表取締役の就任承諾書(取締役が複数人の場合)
⑧監査役の就任承諾書(監査役がいる場合)
⑨払込があったことを証する証明書
⑩取締役全員の印鑑証明書
⑪取締役全員の身分証明書(取締役会を設置する場合)
⑫印鑑届出書

⑧法務局で登記申請を行う(申請日が設立日となる)

⑦で用意した必要書類を持って法務局に登記申請を行います。
申請は直接窓口で行うか、郵送で行う事もできます。
申請はその場で受理され、その日が申請日=会社の設立日となります。
申請時に登記が完了する予定日を教えてもらえますので確認するようにしましょう。

⑨補正がなければ1週間程度で登記が完了

申請後から登記完了予定日までに補正の連絡がなければ、登記は晴れて完了となります。
※登記が完了した旨の連絡はありません

なお、登記申請書類の不備があると、法務局から補正が命じられます。
申請人が不備の補正をしない場合は、申請自体が却下されます。

登記が完了したら正式に会社が設立される

登記が完了されたら正式に会社が設立され、登記事項証明書や印鑑証明書を取得できるようになります。
会社を設立した後に必要な作業も多く、それらの作業で登記事項証明書や印鑑証明書が必要になりますので、速やかに取得するようにしましょう。

登記事項証明書と印鑑証明書は法務局の窓口で発行してもらえます。

失敗しない建設業の会社設立方法を徹底解説!まとめ

以上、建設会社の設立方法について、おおまかな流れをご紹介しました。

会社設立は手続き自体はそこまで複雑ではありませんが、特に建設業のような許認可申請が後々絡んでくるようなケースでは、何も考慮せず会社設立をした場合、会社は出来ても許可が下りないという事が起こり得ます。

そうならない為にも、建設業許可の取得を考えている方は、許可取得に詳しい会社設立の専門家に相談する事をオススメします。

なお、建設業許可自体について詳しく知りたい方は、本サイトで詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

 

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