実務経験証明書の記入例【建設業許可・申請書類の書き方解説】

建設業許可の申請書類の書き方にお困りではありませんか?本記事では申請書類のひとつ「実務経験証明書(様式第九号)」について、その書き方をイチからわかり易く解説していきます。

※注意事項
申請書類の書き方は各都道府県や自治体によって異なります。実際に申請される際は、申請先の自治体の手引きを必ず確認下さい。

「実務経験証明書」の概要

実務経験証明書(様式第九号)の概要と書式見本については下記の通りです。

許可を申請する建設業者が、専任技術者を実務経験によって証明しようとする場合に、その実務経験を証明者(実務経験を積んだ業者)により証明する書類

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※「国土交通省HP」からダウンロードできます

専任技術者を実務経験によって証明する場合は提出が必須

実務経験証明書(様式第九号)の申請区分による提出必要可否は下記の通りで、更新以外の申請区分において、専任技術者の証明を実務経験によって行う場合に提出が求められます。そのため、国家資格保有者を専任技術者にする場合などは、この書類は不要になります。

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参考 更新?許可換え?申請区分について知りたい!

実務経験証明書の書き方・記入例

本書類は、専任技術者の証明を実務経験によってする場合に必要な書類です。実務経験による証明には、10年以上の実務経験が原則必要です(指定学科を修了している場合は、3年もしくは5年に短縮されます)。では早速、実務経験証明書の書き方と記入例を見ていきましょう(記入例はわかりやすく赤字で記載していますが、申請で認められているのは黒インクのみです)。

※注意事項
後ほど詳しく解説しますが、本書類は各自治体によって書き方や実務期間の積み上げ方が大きく異なります。実際の申請においては申請先の手引きを確認頂く必要があります。

記入例

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①証明する工事の種類
専任技術者が担当する工事の種類ごとに作成(証明)する必要がありますので、まず本書類で証明する工事の種類を記入します。

②日付
申請日を記入する為、作成時は空欄にしておきます。

③証明者
実務経験を積んだ業者(証明者)の本店の住所、名称、代表の氏名を記入します。証明者は原則として使用者(法人の場合は代表者、個人の場合は事業主)でなければなりません。

これらの者の証明を得ることができない正当な理由があり、やむを得ず自己証明する者については、「使用者の証明を得ることができない場合はその理由」の欄にその理由を記載し、必要な場合には当該事実を証し得る第三者の証明書又はその他の書類を添付します。

印については、法人の場合は法務局に登録している代表者印を、個人の場合は実印を正本に押印します(印鑑証明が求められる場合もあります)。なお証明者が、建設業許可申請書(様式第1号)の申請者と同じ場合は必ず同一印を押印します。
※2021年3月以降ほぼ全ての自治体で押印が不要になっています

④被証明者との関係
証明者の立場からみた被証明者(専任技術者)との関係を記入します。役員や社員、従業員(退職している場合は元社員などと記入)などが入ります。
※証明者と被証明者が同一の場合は「本人」と記入(1人親方が自身の実務経験を証明する場合等)

⑤専任技術者の氏名
専任技術者の氏名を漢字フルネームで記入します。別途作成する「専任技術者証明書(様式第八号)」の記載と一致する必要があります。

⑥専任技術者の生年月日
専任技術者の生年月日を記入します。西暦では元号で記入します(例:昭和〇〇年)。別途作成する「専任技術者証明書(様式第八号)」の記載と一致する必要があります。

⑦使用者の商号又は名称
使用者(実務経験を積んだ業者。ここでいう証明者)の商号もしくは名称を記入します。実務経験を積んでいた当時の名称を記入しましょう。個人の場合は個人名(屋号を登記している場合は屋号)を記入します。

⑧使用された期間
専任技術者が雇用されていた期間を記入します。実務経験を積んだ期間ではないので注意しましょう。

⑨職名
当時担当していた役職を具体的に記入しましょう。

⑩実務経験の内容
「使用された期間」内において携わった実務の経験を記入します。記入にあたっては、具体的工事件名をあげて、実務経験の内容が具体的にわかる書き方をしましょう。

建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験。ただ単に建設工事の雑務のみの経験年数は含まれないが、建設工事の発注に当たって設計技術者として設計に従事し、又は現場監督技術者として監督に従事した経験、土工及びその見習いに従事した経験等も含めて取り扱う(建設業許可事務ガイドライン参照)

⑪実務経験年数
記入した実務経験(建設工事)ごとにその年数を記入します。

1件の工事と工事の期間が12か月以上空かない限り、連続して実務経験があることとみなされます(上記の記入例を参照)。
実務経験期間の考え方は各自治体によって大きく異なりますのでご注意ください

一番下の合計欄に、実務経験の年数として認められる期間の合計を記入します。この期間が必要な実務経験期間(原則10年)を超えていることが必要です。

⑫使用者の証明を得ることができない場合はその理由
使用者(実務経験を積んだ業者)と証明者が異なる場合、その理由を記入します。原則証明者は使用者(実務経験を積んだ業者)でなければいけませんが、正当な理由がある場合は本欄に理由を記入し、必要に応じてその証拠となる書面などを添付します。会社が解散した場合や事業主が死亡したケースなどが考えられます(「令和〇年〇月 会社解散のため」などと記入)。

【重要】実務経験期間の積み上げ方

本書類は基本的には10年間など一定期間の実務経験がある事を証明する書類であり、その期間のカウント方法が重要になります。この実務経験期間の積み上げ方は各自治体によって大きく異なります。

積み上げ方として多いのは以下の3つがあげられます。実際に申請される際は、申請先の自治体が以下のどのルールを採用しているか(以下以外の可能性もあり)確認してから書類の作成に進みましょう。

・12ヶ月以上間が空かない期間は実務経験としてカウント
・1年に1件代表工事を書けばその年度は1年としてカウント
・実際の工期の期間のみ実務経験としてカウント(最も厳格な方法)

確認資料の提示が必要な点にも注意

この実務経験証明で気をつけないといけない点が、確認(裏付け)資料を提示できるかどうかです。建設業許可の新規申請で本書類を提出する場合、多くの自治体でその工事が実際に行われた事を確認できる資料を提示するよう求められます

確認資料として認められるものは各自治体によって異なりますが、多くの場合「工事の契約書」や「注文書と請書のセット」「請求書と入金履歴のセット」などを認めている自治体が多いです。この資料が揃うかが新規申請では大きなポイントになりますので、申請をお考えの方はまずこの点を手引きで確認されることをオススメします。

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「実務経験証明書」まとめ

以上、ここまで実務経験証明書(様式第九号)の書き方についてご紹介しました。

専任技術者を実務経験によって証明する場合、本書類の作成はもちろんですが、その確認資料の収集や前職での実績確認など、場合によっては相当な労力がかかるケースがあります。作成前にどういった情報や書類が必要かを把握してから作成にとりかかるのが重要です。

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