指導監督的実務経験証明書の記入例【申請書類の書き方解説】

建設業許可の申請書類の書き方にお困りではありませんか?本記事では申請書類のひとつ「指導監督的実務経験証明書(様式第十号)」について、その書き方をわかり易く解説していきます。

※注意事項
申請書類の書き方は各都道府県や自治体によって異なります。実際に申請される際は、申請先の手引きを必ずご確認ください。

申請書類「指導監督的実務経験証明書」の概要

指導監督的実務経験証明書(様式第十号)の概要と書式見本については下記の通りです。

特定建設業の許可を申請する建設業者が、専任技術者を実務経験により証明する場合に、そのうちの指導監督的実務経験を証明する書類

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※「国土交通省HP」からダウンロードできます

指導監督的経験証明書の提出が必要な申請区分

指導監督的実務経験証明書(様式第十号)の申請区分による提出必要可否は下記の通りで、更新以外の申請区分で提出が求められます。すべて「場合により必要」になっているのは、本書類は「特定建設業許可」を申請する際に必要な書類であり、「一般建設業許可」を取得する場合は不要なためです(特定の場合でも資格で専任技術者の証明をする場合も本書類は不要)。

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>>許可換え?般・特新規?申請区分について詳しく知りたい方はコチラ

【重要】そもそも指導監督的実務経験とは?

本書類の書き方に入る前にそもそも指導監督的経験とは何かをご紹介します。指導監督的実務経験とは、特定建設業の許可申請において、専任技術者を実務経験で証明する場合に、通常の実務経験にプラスして2年以上求められる経験で、下記①②のどちらにも該当する場合に、指導監督的な実務経験として認められます。

① 許可を受けようとする建設業に係る建設工事で、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上の元請工事
※ただし、昭和59年10月1日以前に請け負った場合は1,500万円以上、昭和59年10月1日以降平成6年12月28日以前に請け負った場合は3,000万円以上の元請工事を2年以上の期間に算入可能
② 上記①の工事の設計又は施工全般について、工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場で技術面を総合的に指導監督した経験

参照:建設業許可事務ガイドライン

これらの内容の工事を元請として受注し、かつ現場で監督者として工事に関わる経験を積むのは、大きなゼネコンでかつ工期の長い工事業種でないと非常に難しいと言えます。そのため、特定建設業許可の取得を目指すのであれば、該当資格の取得を目指す方が確実な方法と言えるかもしれません(なお後ほど書き方の章でも出てきますが、指定建設業と呼ばれる7業種「土・建・電・管・鋼・舗・園」については、指導監督的実務経験での証明は認められず必ず該当資格が必要になります)。

>>特定建設業許可について詳しく知りたい方はコチラ

指導監督的実務経験証明書の書き方・記入例

本書類は、上記で述べた通り、特定建設業の許可を受けようとする際、専任技術者を実務経験によって証明する場合に要件として求められる「2年以上の指導監督的実務経験」を、証明者(経験を積んだ業者)により証明するための書類です。ではその書き方と記入例を見ていきましょう。
※記入例はわかりやすく赤字で記載していますが、申請で認められているのは黒インクのみです。

記入例

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①証明する工事の種類
専任技術者が担当する工事の種類ごとに作成(証明)する必要がありますので、まず本書類で証明する工事の種類を記入します。

※注意
特定建設業許可を申請する際、指定建設業と呼ばれる7業種(土・建・電・管・鋼・舗・園)については、実務経験による専任技術者の証明は不可です(必ず資格等により証明する必要があります)。
②日付
申請日を記入する為、作成時は空欄にします。
③証明者
指導監督的実務経験を積んだ業者(証明者)の本店の住所、名称、代表の氏名を記入します。証明者は原則として使用者(法人の場合は代表者、個人の場合は事業主)でなければなりません。

これらの者の証明を得ることができない正当な理由があり、やむを得ず自己証明する者については、「使用者の証明を得ることができない場合はその理由」の欄にその理由を記載し、必要な場合には当該事実を証し得る第三者の証明書又はその他の書類を添付します。

印については、法人の場合は法務局に登録している代表者印を、個人の場合は実印を正本に押印します(印鑑証明が求められる場合もあります)。なお証明者が、建設業許可申請書(様式第1号)の申請者と同じ場合は必ず同一印を押印します。
※2021年3月以降、ほぼ全ての自治体で押印が不要となっています

④被証明者との関係
証明者の立場からみた被証明者(専任技術者)との関係を記入します。役員や社員、従業員(退職している場合は元社員などと記入)などが入ります(証明者と被証明者が同一の場合は「本人」と記載)。

⑤専任技術者の氏名
専任技術者の氏名を漢字フルネームで記入します。別途作成する「専任技術者証明書(様式第八号)」の記載と一致する必要があります。

⑥専任技術者の生年月日
専任技術者の生年月日を記入します。西暦では元号で記入します(例:昭和〇〇年)別途作成する「専任技術者証明書(様式第八号)」の記載と一致する必要があります。

⑦使用者の商号又は名称
使用者(実務経験を積んだ業者。ここでいう証明者)の商号もしくは名称を記入します。実務経験を積んでいた当時の名称を記入しましょう。個人の場合は個人名(屋号を登記している場合は屋号)を記入します。

⑧使用された期間
専任技術者が雇用されていた期間を記入します。実務経験を積んだ期間ではないので注意しましょう。

 

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ここからは。使用された期間内に担当した指導監督的実務経験を通算2年以上になるように、具体的に1件ずつ記入していきます。なお、記入方法や考え方が各行政庁(都道府県)によって異なりますので申請先の手引きを必ず確認するようにしましょう

⑨発注者名
元請人として直接請け負った契約の相手方の名称を記入します。

⑩請負工事の代金
該当する元請工事の代金を記入します。単位は「千円」ですので注意しましょう。原則、1件の請負代金が4,500万円以上になります。
※平成6年12月28日~昭和59年10月1日に請け合った工事は3,000万円以上、昭和59年10月1日以前に請け負った工事は1,500万円以上でOKです。

⑪職名
専任技術者が従事した工事現場において就いていた地位を記入します。指導監督的な実務をしていることがわかるよう具体的に記入しましょう。

⑫実務経験の内容
「使用された期間」内において携わった指導監督的な実務経験を記入します。記入にあたっては、具体的工事件名をあげて、実務経験の内容が具体的にわかる書き方をしましょう。

⑬実務経験年数
記入した指導監督的な実務経験(建設工事)ごとにその年数を記入します。一番下の合計欄には、記入した全ての工事の年数の合計を記入します。この合計が必要な期間(2年以上)を超えていることが必要です。

⑭使用者の証明を得ることができない場合はその理由
使用者(指導監督的実務経験を積んだ業者)と証明者が異なる場合、その理由を記入します。原則証明者は使用者(実務経験を積んだ業者)でなければいけませんが、正当な理由がある場合は本欄に理由を記入し、必要に応じてその証拠となる書面などを添付します。会社が解散した場合や事業主が死亡したケースなどが考えられます(「令和〇年〇月 会社解散のため」などと記入)。

作成前に役所への確認をした方が良い

本書類を作成する上でオススメの進め方が、申請先の自治体に事前に確認を行う事です。この「指導監督的実務経験」の定義である「技術面を総合的に指導監督した経験」は幅広い考え方が出来る為、自治体によってどこまでを認めてもらえるかは事前に確認を取っていた方が、書類を作ってからそれは認められなかったという事態を防ぐことが出来ます

また、経験を証明する為の裏付け資料も、どこまでのものを求められるかは、自治体やその工事によって個別的な判断をされるケースがほとんどです。そのため、事前にどういった書類が必要か、現時点で揃う書類で認めてもらえるかなど、感触だけでも把握しておく事が、申請をスムーズに進める上で重要になってきます。

指導監督的経験の証明で許可申請をする事は簡単なことではないという意識をもっておき、周到な確認や準備をする事が、結果的に速やかにかつ確実に許可申請を行うことに繋がります。

申請書類作成でお困りの方は

申請書類の作成でお困りの方は、当サイトを運営するイロドリ行政書士事務所にお気軽にご相談下さい。建設業許可申請を専門とする行政書士が対応させて頂きます。

また建設業に特化した当事務所では申請代行サービスも対応しておりますので、許可申請を丸投げしたいという方はそちらをご利用頂ければ、楽に許可取得が可能です。

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指導監督的実務経験証明書まとめ

以上、ここまで指導監督的実務経験証明書の書き方についてご紹介してきました。

本書類は記入自体はそこまで難しくありませんが、その証拠書類の収集や事実確認に非常に労力がかかります。また、本書類で記載した指導監督的経験を、申請先の行政庁が経験として認めてもらえるかも非常に重要な点になってきます。きちんと実務経験として条件を満たしている事を確認した上で書類に落とし込んでいくことが大切です。

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