建設業許可を個人事業主が取る方法!1人親方も取れます!

「建設業許可って個人事業主や1人親方でも取れるの?」そんなご相談をよく頂きます。

結論として、建設業許可は個人事業主や1人親方でもまったく問題なく取れます。ただし、個人事業主の許可申請時には法人と比べて注意すべき点やつまづきやすい点も存在します。本記事では、建設業許可をとりたい個人事業主や1人親方の方に向けて、許可取得の方法をご紹介していきます。

本記事のポイント


 個人事業主や1人親方も許可は取れる

 取得する為の条件は法人と同じ

 法人化しても許可は承継可能


建設業許可を個人事業主が取るためには

建設業許可は会社にのみ与えられると思っている方は多いと思いますが、許可は個人であっても取る事が可能です。また許可を取る為に必要な条件は、法人であろうと個人であろうと変わりはありません

建設業許可を取る為に必要な条件
①経営業務の管理責任者(がいること)
②専任技術者(がいること)
③誠実性(があること)
④財産的基礎等(資金力があること)
⑤欠格要件(に該当しないこと)

この条件を満たしていれば、法人であろうと個人でであろうと許可を取る事が可能です。当然1人親方でも建設業許可は取れるという事です。なお、この許可を取る為の条件についてもっと知りたい方は「建設業許可を取る為に知っておきたい6つの条件」を参照下さい。

従業員0の1人親方でも条件は満たせますか?

従業員を雇っていない1人親方でも、許可の条件を満たす事は可能です。許可の条件で最も難しい条件は「経営業務の管理責任者」と「専任技術者」の要件ですが、この2つは1人で掛け持ちすることが可能です。

そのため、親方が1人で、経営業務の管理責任者と専任技術者の要件を満たした上で、誠実性があり、欠格要件に該当せず、資金力が500万円以上あれば許可が取れるのです。

申請手数料や審査期間なども法人と同じ

個人と法人で条件が変わらないように、申請にかかる手数料や審査期間も両者で変わるはありません。

審査期間
知事許可:30~45日
大臣許可:90~120日程度
申請区分知事許可の申請手数料大臣許可の申請手数料
新規9万円15万円
許可換え新規9万円15万円
般・特新規9万円15万円
業種追加5万円5万円
更新5万円5万円

※建設業許可の手数料についてもっと知りたい方は、「建設業許可を取る為に必要な費用」を参照下さい

条件も費用も法人と同じ!それでも個人の申請は苦労が多い?

ここまでご説明したとおり、法人でも個人でも許可を取るためのハードルになんら違いはありません。それでも個人事業主の許可申請は苦労する事が多いのも事実です。そして、その苦労の大半が「許可の条件をクリアしていても、それを証明する事が出来ない」という課題です。

そこで、個人事業主が許可を取る際に、ハードルになりやすい点と確認すべきポイントについて解説していきます。

まず確認すべきは経営業務の管理責任者の証明が可能か

個人事業主が建設業許可を取る際に、もっともハードルとなるのが、経営業務の管理責任者の証明です。経営業務の管理責任者として認められるには、下記条件をクリアしなければなりません。

・個人事業主として5年以上建設業を営んでいる
経営業務の管理責任者について詳しく知りたい方はコチラの記事参照

ここで、5年以上個人事業主として建設業を営んできたという方は多くおられると思います。しかしその事を証明するには確定申告書の控え(税務署の受領印付き)が5年分必要になります。またそれに加えてその期間に請け負った工事の契約書や注文と請書のセットなどを、少なくとも5年分揃える必要があります。

先ほどの話に戻りますが、このように条件は満たしていても、それを証明する資料が揃わずに許可申請が出来ないというケースが個人様の場合は多く見られます。まずは、確定申告書の控えがちゃんと揃うか、そしてその期間に請け負った工事資料が残っているかを確認しましょう。

次に専任技術者の証明が可能か確認!さらに難しい場合も…

次に確認しなければならないのが、専任技術者の証明が可能かどうかです。専任技術者とは、許可業者の施工能力を担保する為に設けられている条件で、以下のどちらかを満たす人物が社内にいないと許可は取れません。

・国家資格等を持っている
・実務経験10年以上(特定の学科を卒業した場合は3~5年に短縮)
専任技術者について詳しく知りたい方はコチラの記事を参照

この時、国家資格等で証明するのは、資格証の写しを提出するだけで証明完了なので非常に簡単です。ただし、実務経験で証明する場合は非常に大変な作業が待っています。なぜなら、10年の実務経験を確認書類をもって客観的に証明しなければいけないからです。例えば、10年間に請け負った工事の契約書や請求書と入金履歴のセット、注文書と請書のセットなど、工事を請負った証拠となるものを10年分揃えないといけません。

この10年の証明は自治体によってかなり求められる資料が異なり、その難易度もかなり差があるのが実態です。そのため、実務経験で専任技術者証明をする場合は、まず申請先の手引きを確認し、必要な資料は何になるかを確認する所から始めましょう。

個人で許可を取った後に注意すべきポイント

ここまで紹介した2つをクリアできそうであれば、個人事業主や1人親方でも許可を取れる可能性はグッと高まります。そうなると、今度は許可を取る際に注意すべきポイントを知っておく必要があります。ここでは代表的なものをひとつご紹介します。

主任技術者の配置について

建設業許可を取った業者は、請け負った工事の現場に主任技術者を配置しなければなりません(どんな金額の工事でも配置義務があります)。そうなると1人親方で従業員がいないような場合は、親方が主任技術者として現場に出るしかありません。

この時注意が必要なのが、1人親方の場合は、経営業務の管理責任者や専任技術者も親方が兼任しているはずですので、基本的には営業所に常にいて業務を行っている必要があります。つまり、1人親方が現場にでるという事は原則してはいけない事になっています。ただそうなると、1人親方の許可業者は実質工事を請け負えなくなるので、それを防ぐためにも、下記の条件を全て満たした工事に限っては、経営業務の管理責任者や専任技術者を兼務しながらも、主任技術者として現場に出る事が認められます

・勤務する営業所において請負契約が締結された
・営業所と工事現場の距離が近い(現場の職務も営業所の職務もできる距離で、かつ営業所と現場の間で常時連絡をとれる体制にある)
・「公共性の高い工事で、請負代金が3,500万円(建築一式の場合は7,000万円)以上」でない工事

1人親方の場合、許可取得後はこの条件を満たした工事しか基本的には請けられないことになりますので注意しましょう。なお、主任技術者についてもっと知りたい方は「主任技術者について」を参照下さい。

法人成りした場合も許可は引き継がれます!

個人で建設業許可を取った後、事業を拡大する為に法人化する場合も多いと思います。その場合、建設業許可は引き継ぐことが可能です(2020年10月から制度が改正され今まで出来なかった許可の承継が可能になりました)。その為、法人化はしばらく先を考えているけど許可はすぐに欲しい、という方はまず個人で許可が取れるかを検討される事をオススメします。

建設業許可を個人事業主が取る方法まとめ

以上、ここまで個人事業主が建設業許可を取る方法について紹介しました。

建設業許可は、従業員がいないいわゆる1人親方でも取る事ができます。しかし、個人事業主が許可を取ろうとすると非常に苦労することも多いです。もし本記事を読んだ上で、申請に関して心配な点がある場合は、専門の行政書士に相談する事をオススメします。

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