建設業許可の申請で必要な登記事項証明書とは?【入手方法も解説】

法人が建設業許可の申請をする際「登記事項証明書」という書類が必ず求められます。登記事項証明書はいくつか種類があり許可申請に必要なものを入手しなければ申請を受理してもらえないケースもあります。本記事では「登記事項証明書」について詳しく解説していきます。

本記事のポイント


 登記事項証明は法人が申請する場合必須

 法務局で入手可能・種類には注意が必要

 申請時点で発行から3ヶ月以内が条件


登記事項証明書について

登記事項証明書とは登記情報を出力した証明書のことで、建設業許可の申請時に必要な登記事項証明書は、許可を申請する法人の登記事項証明書(商業登記)になります。商業登記の登記事項証明書なので、個人事業主(1人親方等)が許可申請する際には原則不要な書類になります。ただし個人事業主が法人での役員経験を証明する場合は、その当時の法人の登記事項証明書が必要になるケースはあります(後ほど詳しく解説)。

「登記事項証明書」というとあまり耳馴染みがないかもしれませんが、「登記簿謄本(トウキボトウホン)」というと一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?この「登記事項証明書」と「登記簿謄本」はほぼ同じものを指します。では何か違うのかと言いますと、以下のような違いがあります。

登記簿謄本
紙媒体の登記記録(登記簿)をコピーしたもの
登記事項証明書
データ媒体の登記記録を出力したもの

以前は法人情報は紙媒体の「登記簿」に記載されていましたが、現在はすべてデータ上で管理されています。紙媒体時代の登記情報の写しのことを登記簿謄本と呼んでいましたが、現在は紙媒体の登記簿は使用していないため、法人の登記情報を得るためには登記事項証明書を活用することになります。

登記事項証明書の見本

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建設業許可申請時に必要な理由

登記事項証明書は以下の2つの理由で提出する必要があります。

許可申請者(法人)の情報を確認するため

許可を申請するものが法人の場合、その法人情報を確認するために提出が求められます。そのため、登記事項証明書に記載されている情報(事業目的、代表取締役、株式数、設立日など)が申請内容と一致しているかは必ず確認するようにしましょう。また注意が必要な点が、自治体によっては事業目的の欄に工事請負に関する記載がないと許可を認めない場合もあります。その場合は登記変更によって事業目的の追加をする必要がありますので事前にしっかりと調べておきましょう。

経営業務の管理能力を証明するため

建設業許可を取る場合、法人であればその常勤役員のうち1人以上が、個人であれば個人事業主が建設業の経営経験を5年以上有していることを求められます(5年以上の経営経験がある役員もしくは個人事業主のことを経営業務の管理責任者といいます)。

その際、建設会社での役員経験は、建設業の経営経験として認めてもらえるため、その証明のために登記事項証明書を提示する必要があります。他社での役員経験を証明する場合は、その会社で役員登記がされている期間が証明可能な期間となります。よくある落とし穴として会社では役員や専務の役職は与えられていたけど役員登記がされていなかったようなケースが多く、その場合は経営経験としての証明が実質不可能になる場合が多いので注意しましょう

※経営経験の条件は許可申請の最重要論点ですので詳しく知りたい方は「経営業務の管理責任者(能力)についてわかり易く徹底解説!」を参照ください。

【注意】許可申請時に必要な登記事項証明書の種類

登記事項証明書には種類がいくつかあり、その中で建設業許可の申請時に必要なものは「履歴事項全部証明書」と「閉鎖事項全部証明書」の2つです。ほとんど場合は「履歴事項全部証明」で問題ありません。それでは登記事項証明書それぞれの種類について解説していきます。

履歴事項全部証明書
証明書を請求した時点で登記されている事項と、過去3年間の間に既に抹消された事項(正確には証明書の交付請求のあった日の3年前の日の属する年の1月1日から請求の日までの間に抹消された事項)を含めた内容が記載されている証明書です。上記で添付した見本はこの履歴事項全部証明書になります。

閉鎖事項全部証明書
3年以上前の登記情報や他の理由で登記情報から閉鎖された情報が記載されています。履行事項証明書に記載がない情報はここで確認します。履歴事項全部証明書に記載がない事柄を証明したい場合(数年前の役員経験を証明したい場合など)はコチラを使用するケースがあります

先ほどお伝えしたように、建設業許可ではこの2つの登記事項証明書を使用しますが、ほかに存在する登記事項証明書の種類も紹介しておきます。。

現在事項証明書
現在効力のある最新の登記事項のみが記載されています。登記項目は履歴事項証明書と同じです。

代表事項証明書
会社代表者とその代表権に関する事項のみ記載されている非常にシンプルな書面です。

なお、この2つはなぜ許可申請時に使用しないのかというと、現在事項証明書と代表事項証明書に記載がある情報はすべて履歴事項証明書で網羅されていますので、履歴事項証明書を発行すればそれで事足りてしまうのからです。また、履歴事項全部証明書があるので、履歴事項一部証明書というものも存在します。許可申請時には「全部」証明書が必要ですのでその点も注意しましょう。

登記事項証明書の入手方法

登記事項証明書は各都道府県に置かれる法務局で入手することができます。証明書発行の申請方法は窓口に申請書類を提出する方法と、オンラインで申請する方法があります。またオンラインの場合は受け取り方法が指定する窓口での受け取りと郵送の2つから選べます。申請手数料(おおよそ500円~600円程度)も窓口申請やオンライン申請で金額が変わります。オンライン申請の方が少し安いので挑戦してみたい方は以下のサイトを参考にしてみてください。ちょっと難しそう…という方は最寄りの法務局に行けば申請方法も含めて教えてもらえますので窓口申請がおすすめです。

またほぼすべての自治体で、原則発行から3か月以内のものという条件が付いていますのでその点も注意しましょう。

法務省HP(オンラインによる登記事項証明書の交付)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji71.html

【補足】そもそも登記ってなに?

最後にそもそも登記とは何かをご紹介します。登記とは個人や法人などに関連する重要な権利や義務を公に記録する事でその効力を発生させる行政上の仕組みです。例えば「土地」はもともと誰のものでもありませんので、誰の所有物であるかを公にはっきりさせておかなければ争いが絶えなくなります。そこで土地が誰の所有物かは「不動産登記」という制度によって決められるわけです。ある土地が登記上Aさんのものと記載されていることで、Aさんは自分の権利を法的に主張できるのです。

この登記には様々な種類がありますが、建設業許可の申請時に求められるのは基本的には「商業登記」になりますので覚えておきましょう。ただし自治体によっては営業所が申請者の所有物件である場合は「不動産登記」の情報を求めるケースもありますので申請先の手引きを確認するようにしましょう。

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登記事項証明書まとめ

以上、ここまで建設業許可申請時に必要な登記事項証明書についてご紹介しました。

申請者が法人の場合は必ず履歴事項全部証明書が必要になりますので申請のめどがついた時点で入手しておくとスムーズです(申請時3か月以内に発行されたものが必要なので早すぎる取得には注意しましょう)。

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