建設業許可の申請で必要な身分証明書とは?【入手方法も解説】

建設業許可の申請をする時に「身分(身元)証明書」という書類を必ず求められます。普段の生活で耳にする事は少ないと思いますがどういった書類でどこに行けば手に入るのでしょうか?本記事では書類の概要とその入手方法をわかりやすく解説していきます。

本記事のポイント


 許可の申請時に必ず提出が求められる

 欠格要件に該当しない事を証明する書類

 本籍地の役所で入手可能(郵送も可能)


身分証明書について

建設業許可の申請時に必ず提出を求められる書類に「身分証明書」があります。身分証明書とは、成年被後見人や被保佐人に該当しないことや、破産宣告または破産手続開始決定の通知を受けていないことを証明する書類です。市町村の長が証明する公的証明書で、戸籍の一種ですので本籍がある市区町村の役所で発行できます

この証明書に記載されている事項は下記項目です。

①禁治産又は準禁治産の宣告の通知を受けていないこと
②成年被後見人や被保佐人に該当しないこと
③破産宣告または破産手続開始決定の通知を受けていないこと

それぞれについて確認していきましょう。

①禁治産又は準禁治産の宣告の通知を受けていないこと

この禁治産と準禁治産は、成年後見制度の前身として存在していた「禁治産又は準禁治産制度」という制度の中で設けられていた被補助者の名称で、それぞれ今でいう成年被後見人と被保佐人にあたります。つまり成年後見制度が開始された平成21年4月1日より以前に、成年被後見人や被保佐人に該当する人物でなかったことの証明は、この「禁治産又は準禁治産の宣告の通知をうけていないこと」により証明することになります。なお、この「禁治産又は準禁治産制度」では禁治産や準禁治産を戸籍上で管理していた為(今の後見制度は登記で管理)、その名残で戸籍の一種である身分証明書に、後見の登記有無が記載されています。

②成年被後見人や被保佐人に該当しないこと

行政的に言うと「後見の登記の通知をうけていないこと」を証明しますということであり、ようは成年被後見人や被保佐人に該当していませんということです。

③破産宣言又は破産手続き開始決定の通知をうけていない

破産が決定すると、地方裁判所から「破産宣告決定通知書」などが送られてきますが、その通知を受けていないことを証明します。これも要は破産者に該当していませんという事です。

身分証明書の見本

身分証明書の見本を見てみましょう。自治体によって書式は様々で、書類の名称も「身分証明書」や「身元証明書」など様々あります(見本は福岡市のものです)。

なぜ建設業許可の申請で身分証明書が必要なのか?

ではこの身分証明書は建設業許可申請時になぜ必要なのでしょうか?その理由は欠格要件に該当しないことを証明するためです。欠格要件とはそれに該当すると許可を受ける事ができない、許可条件のひとつですが、その中のひとつに「成年被後見人もしくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者」という要件があります

この要件に該当しないことを証明するために、身分証明書が必要になるというわけです。ちなみにこの欠格要件に該当してはいけない人物は、許可を申請する申請者本人や法人の場合は役員全員、令3条使用人(支店長など)などが該当するため、該当者全員の身分証明書を取得する必要があります。

>>欠格要件について詳しく知りたい方はコチラ

身分証明書の入手方法について

ではこの身分証明書はどこで入手することができるのでしょうか?身分証明書は、本籍がある市町村長の役所の戸籍事務担当課で発行してもらえます。本籍がある役所でしか発行してもらえませんのでご注意ください。なお、許可申請時に提出する本書類は、申請日前3カ月以内に発行されている必要がありますのでその点も注意しましょう。

申請と受取は基本は窓口で行う

申請方法は各自治体によって変わりますが、ほとんどの場合、簡単な申請書の提出と手数料(おおよそ300~900円の間)の支払いを役所の窓口ですませればすぐにうけとれます。基本的には窓口での申請と受取ですが、郵送での対応をしている自治体もあります。初めての方は自分の本籍地を調べて、本籍地の役所の戸籍関係の窓口に行って身分証明書が欲しいと伝えれば対応してもらえると思います。自治体によっては申請の際に証明する項目を選ぶよういわれる場合がありますが、その場合は「禁治産(後見)」「破産」の項目をどちらも忘れずに選びましょう

登記されていないことの証明書との違い

建設業許可の申請時に必要な書類で身分証明書と似たような書類があります。それが「登記されていないことの証明書」です。この登記されていないことの証明書も、身分証明書と同じく欠格要件に該当しない事を証明する為に必要な書類です。そのため非常に混同しやすいのですが、これらは以下のようにその記載内容と発行元がそれぞれ異なります

登記されていないことの証明書
後見登記ファイル上に後見の登記がされていないことを証明する書類で、登記を管理している法務局が発行する証明書
身分証明書
禁治産又は準禁治産宣告の通知、後見登記の通知、破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていないことを証明する書類で、戸籍を管理する役所が発行する証明書

この2つの書類は必ずどちらも必要です。詳しい話をすると、後見制度開始前に、現在の成年被後見人や被保佐人に該当する人物だった場合、身分証明書の禁治産や準禁治産の記載を確認しないとわからないため、両方の書類で確認を行うことになっています。

>>登記されていないことの証明書について詳しく知りたい方はコチラ

※なお、外国籍の方は「身分証明書」は発行できません(本籍がないため)。そのため「登記されていないことの証明書」のみを提出します(地域によっては国籍が記載されている「住民票」の提出を求めるケースもあるようです)。

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身分証明書まとめ

以上、ここまで建設業許可の申請に必要な身分証明書についてご紹介してきました。

普段の生活ではまず必要になることがない「身分証明書」ですが、役所にいけば比較的簡単に入手が可能です。必ず本籍地の役所でないと発行してもらえない点だけ忘れないようにしましょう。

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