ものづくり補助金を建設業で活用する方法を徹底解説!

建設業社の皆様に特に知っておいて頂きたい補助金のひとつに「ものづくり補助金」があります。このものづくり補助金の最大の魅力はなんといっても最大1000万円という補助額の高さです。新規分野への事業展開や新しい施工技術の導入をご検討の皆様の為に、どこよりも詳しくものづくり補助金の建設業での活用方法をご紹介していきます。

ものづくり補助金とは?

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下、ものづくり補助金)は、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する目的で設けられた補助金です。

主な特徴はなんといっても最大1,000万円という補助額の大きさと補助経費の幅広さです。新しいサービスを開発して事業を加速させたい事業者にとって非常に心強い支援となりますし、建設業社でも当然活用可能でこれまでも多くの採択例があります

ものづくり補助金の特徴

目的中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発等を支援する
対象者中小企業・小規模事業者
対象経費革新的サービスや試作品開発・生産プロセス改善等に資する設備投資等
補助額最大1,000万円
補助率中小企業:1/2、小規模事業者:2/3
採択率30~50%
公募期間通年

補助対象者
ものづくり補助金の補助対象者は中小企業または小規模事業者となっています。建設業社の場合のそれぞれの定義は以下の通りですので、多くの建設業社は該当することが想定されます。

中小企業:資本金3億円以下または従業員300人以下
小規模事業者:従業員が20人以下

補助対象経費
補助の対象となる経費は、「革新的な製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等にかかった経費になります。具体的には、機械装置やシステム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費などが該当してきます。建設業社で採択された対象経費については後程詳しく紹介します。

補助額
補助額は中小企業の場合、実際にかかった経費の1/2小規模事業者は2/3が補助され、上限額はどちらも1,000万円となっています。例をあげますと、小規模事業者が設備の導入に1,200万円かかった場合、その2/3である800万円が補助対象額となり、もっと高い1,800万円の設備を導入した場合は、2/3は1,200万円ですが上限を超えている為、上限いっぱいの1,000万円が補助額ということになります。

ものづくり補助金の申請から受取までの流れ

ものづくり補助金の申請から受取までの流れはおおよそ以下の通りです。

① 事業計画書の作成
②「①」で作成した事業計画書の電子申請
③ 採択・不採択の審査および決定
④ 採択決定後、計画に沿った取組の実施(経費の使用)
⑤ 取組実施報告書の提出
⑥ 報告書の確認
⑦ 補助金の請求・受領
⑧ 事業化状況の報告

注意点その1.GビスIDの取得が必須
ものづくり補助金の申請は全て電子申請となります。その為、申請システムを利用する為にGビスIDを取得する事が必須となります。GビスIDの発行には数日日数がかかるため、早めにID取得の手続きを行うよう注意が必要です。

注意点その2.採択後も事業状況の報告が必要
補助金は採択されたらすぐに補助金が支給されるわけではなく、事業計画に沿って計画通り事業を実施し、その成果も含め報告を行うことで、実際に使用した経費の1/2もしくは2/3の補助金が支給されます。支給後も事業の状況報告が求められ、報告内容によっては採択が取り消されることもありますので、採択されてからが本番という意識が重要です。

採択率の推移
採択率は開始当初は60%近くありましたが、回数を重ねるごとに競争が厳しくなり、応募者数が1万件を超えた第4次では30%の採択率にまで下がりました。応募者数が5000件程度に落ち着いたここ数回は50%程度となっています。

公募回採択率
第1次62.5%
第2次57.1%
第3次38.1%
第4次31.2%
第5次44.6%
第6次47.7%
第7次50.4%

ものづくり補助金の建設業社採択例

ものづくり補助金は建設業社でも多くの採択事例があり、以下のような事業などが採択された実績があります。

大型建設機械の導入による生産性向上
ICT重機導入による施工期間の大幅短縮
3次元BIM/CIMデータ活用による業務改善
ドローンを活用した測量業務の効率化
請求書管理システムの導入による生産性向上 など

今後の公募スケジュール

今のところものづくり補助金は通年で公募がある補助金という位置づけに実質的になっており、現在第8回までの公募締め切りが公表されています。次の応募チャンスである第8回受付は2022年11月11日(木)が締切の予定です。

詳しくは「ものづくり補助助金公式HP」でご確認ください。

なお、第9回以降のスケジュールは今後発表される予定になっています。

ものづくり補助金に採択されるポイント!

それではものづくり補助金に採択されるためのポイントをいくつかご紹介していきます。

加点項目を満たす
ものづくり補助金には「加点項目」が設定されており、以下の各要件を満たすごとに審査時の加点が行われます。事業自体の計画が重要であることに変わりがありませんが、甲乙つけがたい計画書が並んだ際に、この加点が採択・不採択を分けることになりますので、ぜひとも加点を付けておきたいところです。

【加点項目】
① 成長性加点
「経営革新計画」の承認を取得した事業者に加点があります。経営革新計画は国や都道府県に対して申請を行い、承認を受けることで取得が可能です。

② 政策加点
②-1:創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)
会社成立の年月日(個人事業主の場合は開業日)又は代表取締役の就任日が公募開始日から5年以内である場合に対象となります。
②-2:「パートナーシップ構築宣言」を行っている事業者
「パートナーシップ構築宣言」に署名しポータルサイトで公表している事業者が対象となります。

③ 災害等加点
「事業継続力強化計画」の認定を取得した事業者に加点があります。事業継続力強化計画は国や都道府県に対して申請を行い、承認を受ける事で取得が可能です。

④ 賃上げ加点等
④-1:「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」、又は、「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均3%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」に対して従業員数の規模に応じた加点があります。
④-2:被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合に加点があります。

注意しなければいけないのが、これらの加点要件の特に「経営革新計画」や「事業継続力強化計画」などの認証系の加点要件については、申請締切日時点で認証を受けている必要がありますので、スケジュールをしっかり立てて臨むようにしましょう。

革新性をしっかりとアピール
ものづくり補助金の対象となる取組は「革新性」のある取組であることが条件となります。

革新性の定義は難しい部分ではありますが、業界内や他社ではまだ一般的ではない比較的新しいサービスや生産方式であることが求められると考えましょう。まだ誰もしたことがない前人未踏の事業である必要はなく、最先端な取組という位置づけで大丈夫です。

例えば、建設会社でいうと、一般的な施工技術を自社で取り入れて業務拡大を図るために大型建機を買います、というのは革新的とは言えません。まだ大手ゼネコンしか取り入れていないICT建機を導入し、競合他社に先駆けてICT施工に取り組んでいく、という取り組みは十分に革新的と言えるでしょう。

納得感のある数字や具体的根拠を示す
ものづくり補助金の審査員は、応募事業者のことはもちろん、その業界のことも全く知らない可能性があります。その審査員に自社の事業を採択してもらうためには、この事業者に補助金を出せば間違いなく事業を拡大させ売り上げを伸ばしてくれると確信を持たせることが必要になります。

国が補助金を出す理由は、補助金によって事業者が儲かり、その分を法人税という形で回収でき、またその財源で補助金を出すという好循環を作り出すことが究極的な目的であることを忘れてはいけません。

審査員が補助金を出したくなるような計画書にするためには、補助事業によって伸びる業績が納得感のある数字と具体的な根拠によって描かれている事が何よりも大切です。「受注数の増加につながる」ではなく「受注数が○件/月増加する」、「生産効率があがる」ではなく「生産コストが30%削減できる」、そしてそれぞれの数字を導き出した根拠も当然必要です。

事業計画が絵にかいた餅ではなく、実現可能な取組であると感じてもらえる内容であることが大切です。

まとめ

以上、ここまで建設業社がものづくり補助金を活用するための方法とコツを紹介してきました。

建設業界の今後の課題である人手不足や働き方改革に向けた取組にも非常にマッチするものづくり補助金を、ぜひ事業拡大に活かして頂ければと思います。

また持続化補助金以外で建設業社が活用できる補助金情報について知りたい方は以下の記事も参照ください。
▶建設業者にオススメの補助金3選!

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