【建設業法改正】知らないとマズい建設業許可の変更点を解説

2019年に建設業法の改正案が国会で可決され、25年ぶりに建設業法が改正される事になりました。

それを受けて、2020年10月から建設業許可の要件に関する内容が変更になります。
このページではその許可要件の変更点についてわかり易く紹介していきます。

本記事のポイント


 建設業法の改正で許可を取る為の条件が一部変更

 経営業務の管理責任者の要件が廃止(緩和)

 社会保険への加入が許可要件に新たに追加


新しい建設業法が2020年10月から施行開始

「建設業法及び入契法の一部を改正する法律(令和元年法律第三十号)」が、令和元年6月12日に公布されました。
建設業法が改正されるのは1994年以来、実に25年ぶりの事でした。

改正の背景
建設業界における「長時間労働」や「急速な高齢化」「若者離れ」といった問題は、他の産業とも比較し大きな課題となっていました。
今回の改正はそういった建設業界が抱える課題を解決する為の大改正であり、「働き方改革の促進」「現場の生産性の向上」「持続可能な事業環境の確保」の観点に沿った改定内容になっています。

法律の施行は改定内容に応じて異なりますが、その多くは2020年10月から開始されます。
本記事ではその中でも建設業許可に関する変更点について詳しく紹介していきます。

建設業許可に関する変更は主に3つ

今回の改正における建設業許可に関する変更点は大きく3つです。

建設業許可に関する変更点
①経営業務の管理責任者の要件が廃止(緩和)
②社会保険への加入が許可要件に追加
③建設業許可を承継できる制度を新設

それでは1つずつ詳しく説明していきます。

変更点① 経営業務の管理責任者の要件が廃止(緩和)

今回の改正で目玉として期待されたのがこの経営業務の管理責任者要件の廃止でした。
しかし、それに代わって「経営業務の管理を適切に行うに足りる能力を有するもの」という条件が新たに登場しました。
この中身が現行の条件と大きく変わっておらず、廃止というより緩和という表現が適切と思われます。
では現行の経営業務の管理責任者要件と比較し緩和されたポイントを紹介します。

緩和ポイント① 業種の縛りが撤廃

今まで許可を取る為には、取りたい許可業種の経営経験が5年以上必要でした。
しかし今回の改正で、業種に関わらず建設業の経営経験が5年以上あればOKとされました。

 改正前(旧法:~2020年9月)

許可を受けようとする建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者

 改正後(新法:2020年10月~)

建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者

 

緩和ポイント② 5年以下の役員経験でも可能に

今まで許可を取るには建設業の役員として経営経験が5年以上必要でしたが、改正法では、特定の補助者を置く事を条件に、2年以上の経験で許可を取れるケースを新設しました。

 改正法で新設(新法:2020年10月~)

常勤の役員等のうち1人が下記(b1)又は(b2)のいずれかに該当し、かつその者を補佐する者として、下記の(c1)、(c2)及び(c3)に該当する者をそれぞれ置くものとする。

(b1)建設業の財務管理、労務管理又は業務運営のいずれかの業務に関し、建設業の役員等の経験2年以上を含む5年以上の建設業の役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位における経験を有する者
(b2)建設業の財務管理、労務管理又は業務運営のいずれかの業務に関し、建設業の役員等の経験2年以上を含む5年以上の役員等の経験を有する者
(c1)許可申請等を行う建設業者等において5年以上の財務管理の経験を有する者
(c2)許可申請等を行う建設業者等において5年以上の労務管理の経験を有する者
(c3)許可申請等を行う建設業者等において5年以上の運営業務の経験を有する者

※(c1)(c2)(c3)は一人が複数の経験を兼ね事が可能

少しわかりにくいですが、2年間しか建設業の取締役などの役員経験が無くても、3年間は他業種(飲食業など)で取締役を経験していたり、建設会社の取締役に次ぐ職制上の地位にいた経験があれば、補助者を置けば許可が下りるようになったという事です。

※改正法の「経営業務の管理を適正に行う能力」については、下記ページで別途詳しく紹介しています。

 【最新版】経営業務の管理能力について

変更点② 社会保険への加入が許可要件に追加

健康保険・年金保険・雇用保険の適用事業者は、それぞれに加入していない場合許可が取れなくなりました。
今までは社会保険の加入は許可要件ではなかったため、未加入でも許可は取れました(加入するよう指導は入りますが)。
ただし、今回の改正で加入が実質義務化されることになります。

 改正法で新設(新法:2020年10月~)

健康保険、厚生年金保険及び雇用保険に関し、全ての適用事業所又は適用事業について、適用事業所又は適用事業であることの届出を行った者であること。
※「経営業務の管理を適切に行うに足りる能力を有するもの」の基準として追加されました

変更点③ 建設業許可を承継できる制度を新設

建設業許可はこれまで他社や他人に承継する事は出来ませんでした。
その為、例えば事業譲渡や合併、また個人事業を親から子に引き継ぐ場合などでも、もともとあった許可は一旦廃業した後、事業を引き継ぐ側が新規で許可を取る必要がありました。

この承継が出来ない最大のデメリットは許可の空白期間が発生する事でした。
許可の審査には最低でも1ヶ月程度かかる為、事業を引き継いでも許可が無いという期間がどうしても出来てしまうのです。
しかし、今回の改正で建設業許可の承継が認められる事になり、事業承継による許可の空白期間の問題は解決される事になります。

建設業許可の承継制度の概要
・事業の承継前に認可を得ておく必要有
・当事者同士が事前に行政庁に申請
・許可の有効期間は承継後から5年となる
・相続の場合、死亡後30日以内は申請可能
※その場合死亡日に遡って許可が認可される

建設業法改正で建設業許可は取り易くなる?

「今回の改正で建設業許可は取り易くなる?」というご質問を多く頂きます。
個人的には「条件はそこまで変わらないが申請作業は簡易化するのでは」という見解です。

今回、経営業務の管理責任者の要件が若干緩和されます。
ただ新たに設けられた要件で申請するケースはかなりレアケースと想定されます。
ほとんどの方は改正前から設けられている「役員や個人事業主の経験5年」で要件をクリアする事になり、今回の改正の恩恵を受けるケースはそこまで多くないと思われます。
ただし、業種の縛りがなくなり建設工事を5年以上していれば良くなったため、工事実績の証明が楽になる事が予想されます。

また新たに要件となる社会保険への加入については、近年未加入事業者への指導や現場からの締め出しが厳しくなっており、適用事業者の加入率は非常に高い水準となっている為、こちらも許可取得の難易度にそこまで影響は無いと思われます。

建設業許可に関しては、許可の承継制度の新設が、今回の改正で最も恩恵を受けやすい改正点といえそうです。

まとめ

以上、2020年10月から施行される改正建設業法について、その中でも建設業許可に関する改正点をご紹介してきました。

許可取得のハードルは申請作業面なども考慮すると少し下がると思われますし、許可承継の制度については恩恵を受ける業者さんもおられるはずです。

今回の改正を機に、建設業許可に興味を持たれた方は、ぜひ建設業許可の全てがわかる当サイトを存分に活用頂ければと思います。

kyoka-2