建設業許可は資格が無いと取れない?【資格無しでも許可を取る方法】

「資格を持っていないんですが、建設業許可は取れますか?」

こういった質問をよく頂きますが、同じような心配をされている方もおられるのではないでしょうか?

安心してください、資格が無くても許可は取れます。

この記事を読めば・・・!

・資格を持っていない場合の建設業許可の取り方がわかる!
・持っていると建設業許可の取得に有利な資格についてわかる!

建設業許可は資格が無くても取ることが出来ます

建設業許可は何も資格を持っていない方でも取ることは可能です。

「建設業許可を取るには資格がいる!」と考えられているのは、資格を持っていれば、それだけでクリアできる条件があるからです。

それは許可の条件のひとつである「専任技術者」の条件です。

専任技術者
建設業許可を取るための条件のひとつ。
営業所に必ず配置しなければならない、技術面の知識、技能、経験を有する人物。

建設工事には専門的なノウハウが必須ですので、建設業許可を取る為に会社の技術面を証明するのがこの専任技術者の条件です。

専任技術者として認められるには、決められた「資格」を持っている必要があるため、そのことが「建設業許可を取る為には資格が必要!」と考えられている理由です。

しかし、資格を持っていなくても専任技術者として認められる方法があるので、資格を持っていなくても許可を取ることは可能です。

※なお、専任技術者についてもっと知りたい方は、下記記事で詳しく解説していますので、参考にして下さい。

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資格が無い場合は実務経験が10年ある事を証明できればOK

では資格を持っていない場合はどうすれば良いのでしょうか?

その場合は「許可を取りたい業種での実務経験が10年以上あること」を証明すれば、資格なしで専任技術者の条件をクリアできます。

例)大工工事業の実務経験が10年ある場合は、大工工事業を取る為の条件をクリア!

これは実務経験がある業種以外では認められません。

大工工事業の実務経験が10年であれば、それ以外の業種の専任技術者条件はクリアできません。

例外として電気工事業と消防施設工事業は資格が必要なケースも

この実務経験で注意が必要な業種が「電気工事業」と「消防施設工事業」です。

この2業種の工事を施工するには、それぞれ「電気工事士法」と「消防法」という別の法律で資格が必要とされています。

そのため、この2業種については実務経験による許可取得を認めていない都道府県もあります。

この2業種の許可をお考えの方は、申請席の都道府県に確認するようにしましょう。

資格も実務経験10年も無い!という場合はひとつだけ方法がある

「資格も無いし、実務経験も10年無い!」という方は、残された方法がひとつだけあります。

この実務経験10年は、特定の学科を卒業した学歴があれば、短縮することが可能です。

実務経験が短縮されるケース
特定の学科の大学を卒業した場合:必要な実務経験が3年以上に短縮
特定の学科の高校を卒業した場合:必要な実務経験が5年以上に短縮

これは大学を卒業していれば全員適用されるわけではなく、業種ごとに適用される学科が下記の通り決められています。

許可を取りたい業種卒業すれば必要な期間が短縮される特定の学科
土木工事業土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。以下同じ。)
都市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科
舗装工事業
建築工事業建築学又は都市工学に関する学科
大工工事業
ガラス工事業
内装仕上工事業
左官工事業土木工学又は建築学に関する学科
とび・土工工事業
石工事業
屋根工事業
タイル・れんが・ブロック工事業
塗装工事業
解体工事業
電気工事業電気工学又は電気通信工学に関する学科
電気通信工事業
管工事業土木工学、建築学、機械工学、都市工学又は衛生工学に関する学科
水道施設工事業
鋼構造物工事業土木工学、建築学又は機械工学に関する学科
鉄筋工事業
しゅんせつ工事業土木工学又は機械工学に関する学科
板金工事業建築学又は機械工学に関する学科
防水工事業土木工学又は建築学に関する学科
機械器具設置工事業建築学、機械工学又は電気工学に関す学科
消防施設工事業
熱絶縁工事業土木工学、建築学又は機械工学に関する学科
造園工事業土木工学、建築学、都市工学又は林学に関する学科
さく井工事業土木工学、鉱山学、機械工学又は衛生工学に関する学科
建具工事業建築学又は機械工学に関する学科

学校によって学科の名称はすこしずつ異なることがありますので、卒業した学校に問い合わせすると確実です。

実務経験が10年無い場合はご自身が卒業した学校が上記に該当していないか調べてみましょう。

実務経験を証明する為に10年分の請負契約書等が必要

資格ではなく実務経験で証明をする場合は、10年の実務経験があることを客観的に証明しなければいけません。

自己申告だけでは信じてもらえないんですね。

その為には、10年分の工事の請負契約書や、工事の発注書と請書、請求書と振り込みが確認された預金通帳など、第三者が見て実務経験を確認できる資料を提出しなければいけません。

また、学科の卒業により期間を短縮した場合は、その学科を卒業した証明として卒業証明書なども必要です。

※要チェック
この実務経験を証明する書類として、何が求められるのか、また10年間の工事について全て必要なのか、1年につき1工事で良いのかなど、その要求は申請する各都道府県によってバラバラです。もし資格が無く実務経験で許可を取ろうとする場合は、申請先の都道府県の手引きを確認し必要な資料を確認するようにしましょう。

資格を持っていた方が建設業許可を取るのが簡単なのは事実

「じゃあ資格を持っていても建設業許可を取るときに有利でもなんでもないじゃん」と思われるかもしれませんが、そんな事もありません。

実は先ほど解説した実務経験10年の証明は結構骨が折れます。

なぜなら、10年前の工事の請負契約書って、処分しているケースが多いですよね?

そもそもちゃんとした請負契約書を作っていないというケースも珍しくはありません。

その点、資格を持っていれば、その資格証などの写しを提出するだけで条件クリアなので、確実かつ簡単に証明が出来るんです。

ただし、資格であれば何でもいいわけではなく、業種によって条件をクリアできる資格は決まっていますので、下記表を参考にして下さい。

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建設業許可を考えている場合は資格保有者の採用がオススメ

資格があればその証明を提出すればOKだと説明しましたが、このメリットは許可を取る上でかなり大きいです。

そのため、建設業許可を取りたいと考えている場合は、取りたい業種に対応している資格を持っている人物を優先的に採用することをオススメします。

そうすれば、人を雇うだけで簡単に専任技術者の条件を満たす事ができますし、この専任技術者の条件は、許可を取ったあとも常にクリアしていないといけない条件ですので、もし専任技術者が急に退職したり休職した場合は、かなりのものを指名しないと許可を取り消されます。

その際に、社内に資格をもっている人間が複数いれば、そういった不測の事態にも対応が出来ますので良い事づくしです。

なかなか人を新しく採用する余裕がない、、、という方は、従業員に資格をとってもらうよう、学習支援などをするのものひとつの方法です。

建設業許可は資格が無いと取れない?まとめ

建設業許可は資格が無くても取ることは出来ます。

資格の代わりとして、実務経験が豊富なことを証明できれば(10年以上)、許可を取る為の条件を満たしていると見なしてもらえます。

ただし、その実務経験を証明するための資料集めが非常に大変な作業になりますので、資格を持っている方が許可を取る場合にはメリットがあります。

将来的な許可取得をお考えの場合は、資格保有者の採用や、資格を取ることを検討されると良いでしょう。

なお、資格を持っていたり、実務経験が10年あればそれだけで許可が取れるわけでは当然ありません。

あくまで許可を取る為の条件のひとつをクリアするにすぎませんので、他の条件も全てクリアする事で、晴れて許可を取ることが可能になります。

建設業許可を取る為に必要な他の条件についても知りたい方は、下記記事で詳しく解説していますので参考にして下さい。

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