解体工事業の許可を取りたい方でこんな疑問や悩みをお持ちではないですか?
「どうすれば解体工事業の許可って取れるの?」
「取るのにお金ってどれくらいかかるの?」
「取るとどういう良い事があるの?」
そんなお悩みもこの記事を読めば・・・
・自社が解体工事業の許可を取れるかがわかる!
・許可を取る為にかかる費用がわかる!
建設業許可の解体工事業を取る方法
解体工事業を取る為には、以下の条件を満たした上で、必要な申請手続きをする必要があります。
解体工事業の許可を取る為の必要な条件5つ!
②解体工事業に関する資格、または解体工事の実務経験が10年以上ある
③誠実性がある(過去に不正な行為をしていない)
④500万円以上の資金力がある
⑤欠格要件(過去5年で懲役刑を受けていない、暴力員でない等)に該当していない
⑥社会保険に加入している(法人の場合)
この条件を全て満たしていれば解体工事業の許可を取ることが出来ます!
「満たしていないものがあるからダメかな・・・」
という方も諦めるのはまだ待って下さい。それぞれに細かい論点がありますので、ここから1つずつ解説していきます。最後まで読んで頂ければ、もしかしたら許可を取れる条件をみたしているかもしれません!
そもそも許可を申請する業者が今まで請け負ってきた工事や、これから許可を取って請け負う予定の工事の種類が、解体工事業に該当する専門工事である事は、大前提としておさえておかないといけません。この記事の後半では解体工事業の許可を取る事で請け負う事ができる専門工事について詳しく解説します。
①解体工事業者での役員や個人事業主の経験が5年以上必要に
解体工事業の許可を取る為には、法人の場合は役員のうちの1人以上が、個人の場合はその個人事業主が、以下の経験を積んでいる必要があります。
経営経験が必要なので、建設会社で、従業員として働いていただけではダメです。
ちなみに役員や個人事業主でなくても、解体工事業を営む会社や個人事業主の元で、経営の補佐経験が6年以上ある者がいれば、条件をクリアしたと認められるケースはありますが(例えば個人事業主の息子さんなど)、難易度は非常に高いです。
基本的には、会社の役員もくしは個人事業主を5年以上していた人をまずは確保するのがオススメです(申請者自身が該当していればもちろんそれでOKです)。なお、このような経営経験がある人物を、建設業許可の申請では「経営業務の管理責任者」(略して「経管」)と呼び、許可を取る際の必須条件のひとつとなっています。
経理業務の管理責任者について詳しく知りたい方は下記ページで解説していますので参考にして下さい。
「経営業務の管理責任者について徹底解説」
②解体工事業に関する資格又は10年以上の実務経験が必要
先ほど説明した「経営業務の管理責任者」をクリアできたら、次に求められるのは「資格」です。もし資格がなければ10以上の解体工事業の「実務経験」があればOKです。またこの10年以上という条件は特定の学歴があれば短縮されることもあります。
では順番に見ていきましょう。
解体工事業の許可が認められる資格
下記資格のどれかを持っている人物が社内にいればそれだけでここの条件はクリアです。
※「★」が付いている資格は「特定建設業許可」においても認められる資格
2級土木施工管理技士(種別は「土木」)
1級建築施工管理技士★
2級建築施工管理技士(種別は「建築」「躯体」)
技術士:建設(「鋼構造及びコンクリート」を除く)・総合技術監理「建設」(鋼構造及びコンクリートを除く)★
技術士:建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理「建設-鋼構造及びコンクリート」★
技能検定1級『とび・とび工』
技能検定2級『とび・とび工』(合格後3年以上の実務経験必要)
解体工事施工技士試験合格
※注意!
平成27年以前に上記の資格を取得された方は、資格とは別に解体工事に関する1年以上の実務経験を有している又は登録解体工事講習を受講していることが必要になります。
試験の難易度や取れる許可業種の幅の広さから土木施工管理技士を目指される方が多い印象です。
▶土木施工管理技士について詳しく知りたい
解体工事の実務経験が10年以上
資格がない場合は解体工事の実務経験10年以上あればここでの条件をクリアできます。「資格を持っている人物が社内にいない!」という場合は、解体工事の実務経験が10年以上ある人物を社内で確保しましょう。
解体工事の実務経験でないといけないので、その他の業種での経験は認められません。例えば解体工事を5年、左官工事を5年経験していてもダメで、解体工事を10年経験していないといけません。
下記の場合は特例として、解体工事の実務経験が10年以上必要ありません。
解体工事の実務経験が8年以上+左記の経験期間と重複しない建築一式工事業の実務経験が4年以上
解体工事の実務経験が8年以上+左記の経験期間と重複しないとび・土工工事業の実務経験が4年以上
特定の学歴があれば10年の期間が短縮される
この10年の実務経験は、下記の学科を卒業している人物であれば、短い実務経験で条件をクリアしたと見なしてもらえます。
上記の学科を卒業した人物であれば、その学科が大学の場合は、卒業後3年以上の実務経験で、高校の場合は5年以上の実務経験で、本来10年必要な実務経験の条件クリアしたと見なしてもらえます。
なお、これらの資格保有者もしくは実務経験保有者の事を、建設業許可の申請では「専任技術者」と呼び、許可を受けようとする業者の営業所に、かならず1人以上配置しなければいけません(こちらも常勤でないといけません)。
専任技術者についてもっと詳しく知りたい方は「専任技術者について徹底解説」を参考にして下さい。
特定建設業を取る場合は、この専任技術者の要件がより厳しくなります。
必要な資格の種類が限定されたり、実務経験だけでなくプラスして指導監督的実務経験も必要になってきます。
もし特定建設業をお考えの方は、詳細記事「特定建設業許可について」を参考にして下さい。
③誠実性がある事(過去に問題を起こしてなければOK)
請負契約の締結やその履行に際し、不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかである場合は、許可を取る事は認められません。過去にそのような行為を働き問題を起こしていなければ、この条件でアウトになる事はありません。
この誠実性は、個人事業であればその個人事業主が、法人であれば役員や営業所長など経営において重要な役割をもつ人達に求められます。
④500万円以上の資金力がある事
許可を取るにはある程度のお金を持っている必要があります。下記のどちらかで資金力を証明できればOKです(今からいう金額は払う必要はありません。持っていればOKです)。
・500万円以上の自己資本が確認できる財務諸表
「500万円も持ってない!」という方は、500万円を借りる事が出来れば、その500万円を口座にいれて残高証明書を発行すればそれでOKです。
※500万円の調達能力があれば問題ないため、500万円の確保手段は問われません
⑤欠格要件に該当していない事
許可を取るには、欠格要件に該当していない事が必要です。下記にあげる事項に1つでも当てはまっていたらアウトです。
※当てはまったらいけない人は、個人の場合は個人事業主、法人の場合は役員と令3条使用人(支店長など)です
番号 | 事項 |
① | 成年被後見人もしくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者 |
② | 不正の手段で許可を受けた、又は営業停止処分に違反したことで許可を取り消され、取消しになった日から5年を経過しない者 |
③ | ②の取消し処分にかかる通知があった日から当該処分があった日までの間に廃業の届出をした者で当該届出の日から5年を経過しない者 |
④ | ②の取消し処分にかかる通知があった日以前60日以内に、③の廃業の届出をした法人の役員等若しくは令3条使用人(営業所長等)、又は届出をした個人の令3条使用人で、当該届出の日から5年を経過しない者 |
⑤ | 営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者 |
⑥ | 営業の禁止を命ぜられ、その禁止の期間が経過しない者 |
⑦ | 禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 ※禁固以上とは「死刑」「懲役」「禁固」が該当します。 |
⑧ | 一定の法律に違反したことで罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 |
⑨ | 暴力団員、又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者 |
⑩ | 申請者が未成年者で、その法定代理人が上記に該当する者 |
⑪ | 法人でその役員等、又は令3条使用人が上記に該当する者 |
⑫ | 個人でその支配人又は令3条使用人が上記に該当する者 |
⑬ | 暴力団員等にその事業活動を支配されている者 |
これまでの5つの条件を全てクリアしていれば、
解体工事業の許可を取る為の条件は全てクリアです!
実際に許可を取るには許可の申請手続きが必要になります
解体工事業の許可を取る為に必要な申請手続き
解体工事業の許可を取る為には、都道府県に許可の申請を行う必要があります。各都道府県の県庁に許可の申請窓口(下記参照)があるので、そこに必要な申請書類のセットを提出し、申請手数料を支払えば許可申請は完了です。
申請書類の作成と準備がかなり大変な作業ですので、専門の行政書士に委託するケースも多いです。
※詳しくは「行政書士に依頼するメリットについて」を参照ください
解体工事業の許可申請窓口一覧 | |||
都道府県名 | 担当部署 | 都道府県名 | 担当部署 |
北海道 | 建設部建設政策局建設管理課 | 滋賀県 | 土木交通部監理課 |
青森県 | 県土整備部監理課 | 京都府 | 建設交通部指導検査課 |
岩手県 | 県土整備部建設技術振興課 | 大阪府 | 住宅まちづくり部建築振興課 |
宮城県 | 土木部事業管理課 | 兵庫県 | 県土整備部県土企画局総務課建設業室 |
秋田県 | 建設部建設政策課 | 奈良県 | 県土マネジメント部建設業・契約管理課 |
山形県 | 県土整備部建設企画課 | 和歌山県 | 県土整備部県土整備政策局技術調査課 |
福島県 | 土木部技術管理課建設産業室 | 鳥取県 | 県土整備部県土総務課 |
茨城県 | 土木部監理課 | 島根県 | 土木部土木総務課建設産業対策室 |
栃木県 | 県土整備部監理課 | 岡山県 | 土木部監理課建設業班 |
群馬県 | 県土整備部建設企画課 | 広島県 | 土木建築局建設産業課建設業グループ |
埼玉県 | 県土整備部建設管理課 | 山口県 | 土木建築部監理課建設業班 |
千葉県 | 県土整備部建設・不動産業課建設業班 | 徳島県 | 県土整備部建設管理課 |
東京都 | 都市整備局市街地建築部建設業課 | 香川県 | 土木部土木監理課契約・建設業グループ |
神奈川県 | 県土整備局事業管理部建設業課 | 愛媛県 | 土木部土木管理局土木管理課 |
新潟県 | 土木部監理課建設業室 | 高知県 | 土木部土木政策課 |
山梨県 | 県土整備部県土整備総務課建設業対策室 | 福岡県 | 建築都市部建築指導課 |
長野県 | 建設部建設政策課建設業係 | 佐賀県 | 県土整備部建設・技術課 |
富山県 | 土木部建設技術企画課 | 長崎県 | 土木部監理課 |
石川県 | 土木部監理課建設業振興グループ | 熊本県 | 土木部監理課 |
岐阜県 | 県土整備部技術検査課 | 大分県 | 土木建築部土木建築企画課 |
静岡県 | 交通基盤部建設業課 | 宮崎県 | 県土整備部管理課 |
愛知県 | 都市整備局都市基盤部都市総務課 | 鹿児島県 | 土木部監理課 |
三重県 | 県土整備部建設業課 | 沖縄県 | 土木建築部技術・建設業課 |
福井県 | 土木部土木管理課 | - | - |
営業所が2つ以上の都道府県にまたがって存在する場合は、国に許可を申請する必要がありますので、申請窓口が変わります。
営業所が2つ以上の都道府県にある方は「大臣許可について」の記事で申請窓口を確認下さい。
解体工事業の許可申請にかかる費用(申請手数料)
解体工事業の許可を申請する場合は、必ず申請手数料がかかります。新規で許可を取りたい場合の手数料は9万円です(大臣許可の場合は15万円)。既にほかの業種の許可は持っていて、解体工事業の許可を追加したい場合は、5万円です。
解体工事業の申請手数料 | ||
申請区分 | 知事許可 | 大臣許可 |
新規 | 9万円 | 15万円 |
許可換え新規 | 9万円 | 15万円 |
般・特新規 | 9万円 | 15万円 |
業種追加 | 5万円 | 5万円 |
更新 | 5万円 | 5万円 |
申請してから許可がもらえるまで1ヶ月以上かかる
解体工事業の許可を申請してもすぐに許可がもらえるわけではありません。申請後、都道府県で申請内容の審査が行われますが、この審査に30~45日かかります(各都道府県によって異なる)。
そのため、いつまでに許可が必要という期限が決まっている場合は、そこから少なくとも1ヶ月以上前に申請しなければいけないので、許可取得は計画的に行いましょう。
大臣許可の場合は120日程度審査に時間がかかります。
解体工事業の許可を取るメリット
解体工事業の許可を取るメリットは沢山あります。
解体工事業の許可を取ると・・・
500万円以上の金額の解体工事業にかかる建設工事を請け負う事が出来るようになります。
解体工事業にかかる公共工事の入札に参加することが出来るようになります。
許可はいわば国や県のお墨付きですので、発注業者への信頼度のアピールに繋がります。
また銀行から融資がおりやすいケースもあります。
解体工事業で請け負える専門工事は「解体工事」
解体工事業の許可を取る事で、請け負える建設工事は「解体工事」です。では具体的にどんな工事がこの「解体工事」に該当するかを見ていきましょう。
解体工事に該当する工事
既存の工作物を解体する工事が解体工事
解体工事に該当する工事は具体的に下記のような工事があげられます。
解体工事は29ある建設業種の中で最も新しく設けられた業種で、既存の建築物や工作物を解体、つまり壊して更地にする工事の事を指します。解体工事は作業によっては、専門の資格や講習を受けた者しか実施できない場合もあり、高い専門性が求められる工事になります。
また、それぞれの専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工事は各専門工事に該当します。配管をとりかえる為に配管を撤去する作業は管工事業にあたるといったケースです。
また総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事は、それぞれ『土木一式工事』や『建築一式工事』に該当します。例えば高層ビルの解体や、解体と建て替えを一体で請け負う工事などは建築一式工事にあたります。
建設業許可の解体工事業を取る方法まとめ
建設業許可の解体工事業を取る方法はご理解頂けましたでしょうか?
許可を取る為に最もハードルとなるのが、解体工事業を営む業者での役員や個人事業主の経験と、関連する資格の保有または実務経験です。そこをクリアできればぐっと許可取得に近づきます。
解体工事は技術者資格の条件が少しややこしいので、不安な方は専門の行政書士などに相談すると良いでしょう。
なお、他の業種についても詳しく知りたい方は、下記時期で全ての業種を紹介していますので参考にしてみて下さい。
「建設業許可を取ればどんな建設工事も請け負う事が出来る!」 実はこれは大きな間違いです。 建設業許可には、請け負える工事の種類に応じて29の業種が用意されており、この業種の選択を間違うとせっかく許可を取っても望んでいる工事が請負[…]