建設業許可を持っている業者は、その営業所に何らかの変更がなされた場合、その旨を行政庁に報告しなければいけません。
「いつまでに、どうやって報告するの?」
「報告していなかったらどうなるの?」
そんな疑問やお悩みを解決するために、ここでは営業所に何らかの変更があった際に、許可業者がしなければならない事を徹底解説します。
この記事を読めば・・・!
・変更届出書が書けるようになる!
営業所に何らかの変更があった場合は届け出が必要
営業所は許可業者であれば必ず1つ以上設置しなければいけませんので、全ての許可業者が持っている事務所になります。
建設業許可において営業所は下記のように定義されています。
常に、建設工事の請負契約を締結する事務所のこと。
請負契約の締結には、見積りや入札など請負契約の締結に係る実体的な行為も含まれる。
※他の営業所に対し契約に関する指導監督を行う等、営業に実質的に関与する場合も該当
建設工事を受注する体制が整っているもしくは受注に関与している事務所であれば営業所と呼べるでしょう。
詳しく知りたい方は下記ページを参考にして下さい。
建設業許可において「営業所」の扱いは非常に重要なポイントになります。営業所の数や場所による許可の種類が変わったり、営業所に配置する技術者を間違うと建設業法違反になってしまう事もあります。 本記事では建設業許可における「営業所」について[…]
当然、許可業者として建設業を営む以上は、この工事の請負契約において重要な営業所は必ず設置しなければいけませんし、行政が許可をだす際に、営業所の実態はきちんと確認するポイントでもあります。
ですので、許可を認めた後に、この営業所が廃止されたり、住所などが変更された場合、国や県としては「ちょっと待った!」ということになりますよね?
その為、もし許可を持っている業者の営業所になんらかの変更があった場合は、その内容を国や県に対して、届け出という形で報告しないといけないのです。
営業所の変更に当たる具体的なケース
「営業所の変更」に当たるケースはいくつかあり、つぎのうち、どれかに該当したら必ず届け出をしなければなりません。
営業所の変更にあたるケース(届け出が必要)
・営業所の名称や電話番号が変わった場合
・営業所で請け負う業種を変更した場合
・営業所を新設した場合(支店の追加など)
・営業所を廃止した場合(支店の閉鎖など)
変更の届け出は30日以内にしなければならない!
この営業所の変更の届け出は、変更が起きてから30日以内にしないといけません。
変更届自体は1日で書けるような書類ですが、一緒に提出する確認書類などを揃えるのに時間がかかる為、変更が起きたらすぐに書類の準備にとりかかりましょう。
初めての方にとっては非常にタイトなスケジュールになりますので、専門の行政書士に依頼するのもひとつです。
なお、届け出先は、現在持っている許可を受けた許可行政庁になります。
届け出をしていないと罰則規定の対象になることも
必要な届け出をしていない場合どうなってしまうのでしょうか?
しなければいけない届け出をしていない場合、、、
・場合によっては罰則規定(建設業法第50条等)により、許可取消や罰金、懲役の対象になる
許可の更新時などに変更届を出していないことが発覚した場合は、さかのぼって届け出を出す事が可能なケースもありますが、省略はできませんので、想定していた申請スケジュールから大幅に遅れが出てしまうことになります。
また罰則規定で罰金や懲役が下されると、そこから許可が5年間受けられなくなるなど、大変な事態に発展しかねないので、届け出忘れないように必ず期限内に提出するよう心がけましょう。
届け出に必要な提出書類を解説
では、届け出をする為に必要な提出書類について、変更内容ごとにそれぞれ解説していきます。
届け出が必要な変更事由
①移転などで名称や住所、電話番号が変更された場合
②新設された場合(支店追加)
③廃止された場合(支店廃止)
④請け負う業種が変更された場合
①営業所が移転され名称や住所、電話番号が変更された場合
営業所が移転された場合、それに伴い変更された名称や住所、電話番号を下記書類による届け出る必要があります。
①変更届出書(第一面)(様式第22号の2)
②商業登記簿謄本
③移設先の営業所の概要および確認書類(各自治体によって内容は異なる)
※営業所が移設されず名称や電話番号だけが変更される場合は③が不要
※登記内容に変更がない場合は②が不要
【支店の変更の場合は上記に加えて・・・】
変更届出書(第二面)(様式第22号の2)
②営業所が新設(支店追加)された場合
営業所が新設された場合、つまりは支店(従たる営業所)が新しく追加された場合も、その旨を下記書類によって届け出る必要があります。
①変更届出書(第一面および第二面)(様式第22号の2)
②商業登記簿謄本
③移設先の営業所の概要および確認書類(各自治体によって内容は異なる)
※登記内容に変更がない場合は②が不要
なお、営業所を新設する場合は、同時にその支店に関する専任技術者及び令3条使用人の変更の手続も必要となります。
これらについて詳しく知りたい方は「専任技術者の変更に関する手続き」と「令3条使用人の変更に関する手続き」のページを参照下さい。
③営業所が廃止(支店廃止)された場合
営業所が新設された場合、つまりは支店(従たる営業所)が廃止された場合も、その旨を下記書類によって届け出る必要があります。
①変更届出書(第一面および第二面)(様式第22号の2)
②商業登記簿謄本
※登記内容に変更がない場合は②が不要
なお、営業所を廃止する場合も、同時にその支店に関する専任技術者及び令3条使用人の変更の手続も必要となります。
④営業所が請負う業種が変更された場合
営業所ごとに決められている専門業種に、追加や廃止などの何らかの変更があった場合、その旨を下記書類によって届け出る必要があります。
①変更届出書(第一面および第二面)(様式第22号の2)
なお、業種の変更がある場合は、同時にその支店に関する専任技術者の変更手続も必要となります。
【記入例あり】変更届出書(様式二十二号の二)の書き方
ここまで、届け出が必要な営業所の変更と、そのための必要書類について見てきました。
ではここからは、その必要書類の中でも、必ず提出を求められる「変更届出書」の書き方について、記入例とともに解説していきます。
※記入方法は各自治体によって多少異なるケースがあります
記入例(第一面)
※記入例はわかりやすく赤字で記載していますが、申請で認められているのは黒インクのみです。
① 届け出の内容
届け出の内容は「2」選択し丸を付けます。
各種届け出を同じ書式で行う為、何の変更届なのかがわかるようにするためです。
② 日付
届出日を記入する為、作成時は空欄にします。
③ 宛名
提出先(許可権者)を記入します。
該当しないものは線を引いて消します。
④ 届出者
本店の所在地、商号又は名称、代表者氏名を記入し、法人の場合は代表者印を、個人の場合は個人員を押印します。
なお、本書類以外に提出するその他の届出書内の届出者印は、必ずここで押印したものと同一印を押印するようにします。
※印鑑証明が求められる場合があります
また法人で登記上の住所(個人は住民票の住所)と、実際に営業している住所が異なる場合は、住所を二段に分けて記載します。
(事実上)○○市・・
⑤ 許可番号 [項番35]
保有する許可に関する情報(「大臣知事コード」「許可番号」「許可年月日」)を記入します。
「大臣・知事コード」は、「建設業法施行規則」の別表一の分類に従い、許可を受けている行政庁について該当するコードを記入しましょう(下記表参照)。
大臣・知事(別表一) | |||||||
00 | 国土交通大臣 | 12 | 千葉県知事 | 24 | 三重県知事 | 36 | 徳島県知事 |
01 | 北海道知事 | 13 | 東京都知事 | 25 | 滋賀県知事 | 37 | 香川県知事 |
02 | 青森県知事 | 14 | 神奈川県知事 | 26 | 京都府知事 | 38 | 愛媛県知事 |
03 | 岩手県知事 | 15 | 新潟県知事 | 27 | 大阪府知事 | 39 | 高知県知事 |
04 | 宮城県知事 | 16 | 富山県知事 | 28 | 兵庫県知事 | 40 | 福岡県知事 |
05 | 秋田県知事 | 17 | 石川県知事 | 29 | 奈良県知事 | 41 | 佐賀県知事 |
06 | 山形県知事 | 18 | 福井県知事 | 30 | 和歌山県知事 | 42 | 長崎県知事 |
07 | 福島県知事 | 19 | 山梨県知事 | 31 | 鳥取県知事 | 43 | 熊本県知事 |
08 | 茨城県知事 | 20 | 長野県知事 | 32 | 島根県知事 | 44 | 大分県知事 |
09 | 栃木県知事 | 21 | 岐阜県知事 | 33 | 岡山県知事 | 45 | 宮崎県知事 |
10 | 群馬県知事 | 22 | 静岡県知事 | 34 | 広島県知事 | 46 | 鹿児島県知事 |
11 | 埼玉県知事 | 23 | 愛知県知事 | 35 | 山口県知事 | 47 | 沖縄県知事 |
「許可年月日」は、複数の許可を受けている場合は、現在有効な許可日のうち最も古いものを記入しましょう。
⑥ 法人番号 [項番36]
国税庁から指定された法人番号を記入します。
なお、法人番号は「国税庁 法人番号公表サイト」で検索できます。
⑦ 届出事項
変更があった事項を具体的に記入します。
本店の所在地、電話番号など、変更になる事項ごとに記入します。
⑧ 変更前
届出事項にあわせて、変更前の内容を記入します。
⑨ 変更後
届出事項にあわせて、変更後の内容を記入します。
⑩ 変更年月日
変更があった年月日を記入します。
届出日前30日以内である事を確認しましょう。
⑪ 備考
変更事項について補足や詳細があれば記入します。
⑫ 各種変更に関する入力事項
主たる営業所に変更があった場合は、主たる営業所の変更後の所在地市町村コード[項番 41]、主たる営業所の所在地[項番 42]、郵便番号・電話番号[項番 43]を記入します。
⑬ 連絡先
この申請書の内容に係る質問等に応答できる者の氏名、 電話番号等を記載します。
また、行政書士による代理申請の場合は、行政書士職印を押印します。
記入例(第二面)
営業所の業種が追加された場合や、支店(従たる営業所)について変更がある場合は、変更届出書の第二面の提出も必要になります。
第二面の記入例も見ていきましょう。
①区分[項番 81]
届け出たい内容の区分を該当する数字で記入します。
営業所の変更は「2」、営業所の新設は「3」、営業所の廃止は「4」を記入します。
②許可番号 [項番 82]
保有する許可に関する情報(「大臣知事コード」「許可番号」「許可年月日」)を記入します。
「大臣・知事コード」は、「建設業法施行規則」の別表一の分類に従い、許可を受けている行政庁について該当するコードを記入しましょう(上記表参照)。
③営業しようとする建設業[項番 83]
主たる営業所で営業する建設業の業種について、該当するものを一般建設業の場合は「1」を、特定建設業の場合は「2」を記入します。
支店に関する変更の場合も、この主たる営業所の業種は必ず記入するようにしましょう。
④従たる営業所の名称[項番 84]
従たる営業所の名称を記入します。
⑤従たる営業所の所在地市区町村コード[項番 85]
従たる営業所の市区町村コードと所在地である都道府県と市区町村を記入します。
⑥従たる営業所の所在地[項番 86]
従たる営業所の住所を記入します。
⑦郵便番号・電話番号[項番 87]
従たる営業所の郵便番号と電話番号を記入します。
※なお、⑤~⑦の項目は従たる営業所の新設や廃止の際に記入しますが、業種の追加や廃止のみの場合は記入は不要です。
⑧営業しようとする建設業[項番 88]
従たる営業所で営業する建設業の業種について、該当するものを一般建設業の場合は「1」を、特定建設業の場合は「2」を記入します。
追加や廃止がある場合は、変更後の業種を上段に記入します。
営業所に変更があった場合まとめ
営業所に変更があった場合は、その日から30日以内にその旨を許可行政庁に届け出なければなりません。
「営業所に何らかの変更が生じた場合は速やかに届け出をする」という認識を普段から意識するようにしましょう。
なお、営業所と同様に、変更があった際に届け出が必要な事項は他にも沢山あります。
他の事項についても知りたい方は、下記記事で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてみて下さい。
建設業許可を取得後に申請事項に変更が生じた場合、届け出が必要です! 建設業許可を取得してから、建設業を営んでいく中で、当然組織や事業規模に変更が生じる事があります。 建設業法では、その都度国や県に報告が必要な事項が定められており、 そ[…]