造園業界における人気資格のひとつに「造園施工管理技士」があります。現場で役立つ知識を養えるだけでなく、自身のキャリアアップにも大きく役立つ資格である造園施工管理技士について、その概要から資格を得るための方法まで、どこよりも詳しく解説していきます。
造園施工管理技士とは?
造園施工管理技士とは、国家資格である「施工管理技士」の1種であり、公園や緑地、遊園地などの造園工事の施工計画作成から現場の工程管理、安全管理などを行う造園工事のエキスパートです。
造園施工管理技士には1級と2級があり、造園施工管理技士になると、造園工事の施工管理に関する知識を体系的に習得する事が可能で、また公共工事に配置が義務付けられる主任技術者や監理技術者になれる資格であることもあり、造園業界において非常にニーズの高い資格のひとつです。
他の施工管理技士資格の詳細を見る
土木施工管理技士について知りたい
建築施工管理技士について知りたい
管工事施工管理技士について知りたい
電気工事施工管理技士について知りたい
造園施工管理技士になるメリット
造園施工管理技士は、公共工事に参加している業者にとっては配置技術者の一人として現場を任せられるだけでなく、経営事項審査の点数があがり入札に有利になることもあり、1人でも多く必要とする人材となります。そのため転職において有利な資格といえます。
また、建設業許可の取得も造園施工管理技士を持っていると有利になります。建設業許可の造園工事業を取る条件のひとつに造園工事の実務経験10年という条件がありますが、造園施工管理技士を持っていることで、その条件が不要になります。実務経験10年を証明することは申請実務上、非常に難易度が高いため、この資格を持っていると建設業許可の取得時に非常に有利に働きます。
造園施工管理技士になるには
造園施工管理技士になるには、一般財団法人全国建設研修センターが実施する造園施工管理技術検定を受験し合格する必要があります。試験は1級、2級ともに学科(第一次検定と呼ばれ択一式のマークシート試験)と実地(第二次検定と呼ばれ記述式の筆記試験)から成り、その両方に合格する必要があります。
造園施工管理技術検定の日程
令和3年の場合、造園施工管理技術検定は1級が9月に学科(第一次検定)、12月に実地(第二次検定)、2級は学科が年に2回(前期が6月後期が11月)、実地が1回(11月)実施という日程です。例年似たような日程になることが多いですが、全国建設研修センターのHPで公開される日程をしっかりチェックするようにしましょう。
なお、受験するにはそれぞれ以下の受験手数料が必要です。
2級造園施工管理技術検定
学科(第一次検定):7,200円
実地(第二次検定):7,200円
1級造園施工管理技術検定
学科(第一次検定):14,400円
実地(第二次検定):14,400円
造園施工管理技術検定の受験資格
造園施工管理技術検定を受験するには一定の条件(受験資格)が存在します。その条件として一定の実務経験が必要とされており、学歴によって必要な年数が短縮されるルールになっています(必要年数は1級と2級で異なります)。
2級/学科(第一次検定)の受験資格
受験年度末に年齢が17歳以上の者。
2級/実地(第二次検定)の受験資格
2級の学科(第一次検定)の合格者で造園施工に関する実務経験が以下の通りある者。なお、以下表中の指定学科とは造園施工に関係のある学科の事です(以下添付画像参照)。卒業した学科が指定学科に該当するかどうかわからない場合は、全国建設研修センターに問い合わせて確認するのが確実です。
学歴 | 指定学科 | 指定学科以外 |
---|---|---|
大学卒業者 専門学校卒業者 ※高度専門士に限る | 卒業後1年以上 | 卒業後1年6カ月以上 |
短期大学卒業者 高等専門学校卒業者 専門学校卒業者 ※専門士に限る | 卒業後2年以上 | 卒業後3年以上 |
高等学校卒業者 中等教育学校卒業者 専門学校卒業者 ※高度専門士、専門士以外 | 卒業後3年以上 | 卒業後4年6カ月以上 |
その他の者 | 8年以上 | 8年以上 |
指定学科の一覧
1級/学科(第一次検定)の受験資格
造園施工に関する実務経験が以下の通りある者。
学歴 | 指定学科 | 指定学科以外 |
---|---|---|
大学卒業者 専門学校卒業者 ※高度専門士に限る | 卒業後3年以上 | 卒業後4年6カ月以上 |
短期大学卒業者 高等専門学校卒業者 専門学校卒業者 ※専門士に限る | 卒業後5年以上 | 卒業後7年6カ月以上 |
高等学校卒業者 中等教育学校卒業者 専門学校卒業者 ※高度専門士、専門士以外 | 卒業後10年以上 | 卒業後11年6カ月以上 |
その他の者 | 15年以上 | 15年以上 |
2級合格者 | 実務経験不要 | 実務経験不要 |
1級/実地(第二次検定)の受験資格
1級の学科(第一次検定)の合格者(学科の受験資格を2級合格者で満たした場合は、合格後の実務経験5年以上が必要)。
詳細についてはHPを確認ください
受験資格については特例やもう少し細かい条件も設定されています。上記に該当しない場合でも、建設業許可を持っている業者での主任技術者の経験があれば必要年数が短縮されるケースなどがあります。詳細を知りたい方は全国建設研修センターのHPを参照下さい。
造園施工管理技術検定の内容と合格基準
造園施工管理技術検定の試験内容はそれぞれ以下の通りで、合格基準は全て60%以上の得点となっています。
※令和3年度の試験内容を参考にしており今後変更になる可能性があります
2級造園施工管理技術検定/学科(第一次検定)
試験内容:土木工学等、施工管理、関連法規に関する択一式試験
試験時間:130分
合格基準:得点が60%以上
2級造園施工管理技術検定/実地(第二次検定)
試験内容:施工管理に関する筆記試験
試験時間:120分
合格基準:得点が60%以上
1級造園施工管理技術検定/学科(第一次検定)
試験内容:土木工学等、施工管理、関連法規に関する択一式試験
試験時間:270分
合格基準:得点が60%以上かつ施工管理科目の得点が60%以上
1級造園施工管理技術検定/実地(第二次検定)
試験内容:施工管理に関する筆記試験
試験時間:165分
合格基準:得点が60%以上
造園施工管理技術検定の合格率
造園施工管理技術検定の合格率は、2級が学科(第一次検定)で50~60%、実地(第二次検定)で30~40%で推移しており、1級は学科40%前後、実地が30%台で推移しています。以前は施工管理技術検定の中でも簡単な種目と言われていましたが、近年の合格率は他種目と変わりない数字となっており、難易度は低いとは言えない種目になっています。
合格率の推移
2級学科(1次) | 2級実地(2次) | 1級学科(1次) | 1級実地(2次) | |
平成26年 | 53.4% | 33.5% | 40.0% | 33.8% |
平成27年 | 59.8% | 44.1% | 48.1% | 36.8% |
平成28年 | 50.4% | 39.5% | 53.2% | 32.5% |
平成29年 | 61.0% | 36.7% | 46.6% | 37.5% |
平成30年 | 62.7% | 38.0% | 41.2% | 35.9% |
令和元年 | 50.9% | 37.6% | 37.0% | 39.6% |
令和2年 | 52.2% | 49.8% | 39.6% | 41.0% |
独学者にオススメの教材
造園施工管理技士を目指してみたいけど、独学で合格できるか不安だし、かといって有料講座に通う時間や費用もなかなか取れない…、という方にオススメの教材が株式会社ディーラーニングの独学サポートです。
オススメな理由その1:作文代行サービス
独学サポートは実地(第二次検定)で大きな得点を占める筆記試験の添削指導はもちろん、作文の作成代行サービスまで受けることができます。ほかのセミナーや通信講座ではない独自のサービスで、他の学習サービスを受けながら「作成代行」のみ単体で受ける受講生もいるほどです。
オススメな理由その2:メールによる質問サポート
通信講座だとわからない問題があるときに講師の方に質問できないデメリットがありますが、独学サポートはメールでの質問サポートを行っており、独学でも安心して学習可能です。
オススメな理由その3:低価格
通信講座であれば10万円程度が一般的な相場であり、通学タイプの講座はそれ以上するものがほとんどですが、独学サポートは学科(第一次検定)と実地(第二次検定)両方のフルサポートコースを受講しても5万円以下と非常にリーズナブルです。
これから学習を始めたい方や、学科(第一次検定)は合格したけど実地(第二次検定)がなかなか合格できない、という方に非常にオススメな学習教材になります。
造園施工管理技士になるには?まとめ
以上、ここまで造園施工管理技士について、その概要や検定試験についてご紹介してきました。
造園工事に関わる方であれば、持っているとご自身のキャリアアップに非常に役立つ国家資格ですので、ぜひ一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。