建設業界の人気資格のひとつに「建築施工管理技士」があります。現場で役立つ知識を養えるだけでなく、自身のキャリアアップにも大きく役立つ資格である建築施工管理技士について、その概要から資格を得るための方法まで、どこよりも詳しく解説していきます。
建築施工管理技士とは?
建築施工管理技士とは、国家資格である「施工管理技士」の1種で、建築工事のエキスパートとして施工計画の作成から現場の工程管理、安全管理などを行い、工期内に建物の品質を確保するよう施工管理を行う技術者のことです。
建築施工管理技士には1級と2級があり、2級は「建築」「躯体」「仕上げ」の3種別に分かれています。建築施工管理技士になると、専門工事が複雑に関係しあう建築工事について、その知識を体系的に習得する事が可能であり、また公共工事に配置が義務付けられる主任技術者や監理技術者になれる資格であることもあり、建設業界において非常にニーズの高い資格のひとつです。
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建築施工管理技士になるメリット
建築施工管理技士は、公共工事に参加している業者にとっては配置技術者の一人として現場を任せられるだけでなく、経営事項審査の点数があがり入札に有利になることもあり、1人でも多く必要とする人材となります。そのため転職において非常に有利な資格といえます。
また、建設業許可の取得も建築施工管理技士を持っていると有利になります。建設業許可を取る条件のひとつに実務経験10年という条件がありますが、建築系の専門業種であれば、建築施工管理技士を持っていることで、その条件が不要になります。実際に実務経験10年を証明することは非常に難易度が高いため、この資格を持っていると建設業許可の取得時に非常に有利に働きます。
建築施工管理技士になるには
建築施工管理技士になるには、一般財団法人建築振興基金が実施する建築施工管理技術検定を受験し合格する必要があります。試験は1級、2級ともに学科(第一次検定と呼ばれ択一式のマークシート試験)と実地(第二次検定と呼ばれ記述式の筆記試験)から成り、その両方に合格する必要があります。
建築施工管理技術検定の日程
令和3年の場合、建築施工管理技術検定は1級が6月に学科(第一次検定)、10月に実地(第二次検定)、2級は学科が年に2回(前期が6月後期が11月)、実地が1回(11月)実施という日程です。例年似たような日程になることが多いですが、建築振興基金のHPで公開される日程をしっかりチェックするようにしましょう。
なお、受験するにはそれぞれ以下の受験手数料が必要です。
2級建築施工管理技術検定
学科(第一次検定):5,400円
実地(第二次検定):5,400円
1級建築施工管理技術検定
学科(第一次検定):10,800円
実地(第二次検定):10,800円
建築施工管理技術検定の受験資格
建築施工管理技術検定を受験するには一定の条件(受験資格)が存在します。その条件として一定の実務経験が必要とされており、学歴によって必要な年数が短縮されるルールになっています(必要年数は1級と2級で異なります)。
2級/学科(第一次検定)の受験資格
受験年度末に年齢が17歳以上の者。
2級/実地(第二次検定)の受験資格
2級の学科(第一次検定)の合格者で建築施工に関する実務経験が以下の通りある者。なお、以下表中の指定学科とは建築施工に関係のある学科の事です(以下添付画像参照)。卒業した学科が指定学科に該当するかどうかわからない場合は、建築振興基金に問い合わせて確認するのが確実です。
学歴 | 指定学科 | 指定学科以外 |
---|---|---|
大学卒業者 専門学校卒業者 ※高度専門士に限る | 卒業後1年以上 | 卒業後1年6カ月以上 |
短期大学卒業者 高等専門学校卒業者 専門学校卒業者 ※専門士に限る | 卒業後2年以上 | 卒業後3年以上 |
高等学校卒業者 中等教育学校卒業者 専門学校卒業者 ※高度専門士、専門士以外 | 卒業後3年以上 | 卒業後4年6カ月以上 |
その他の者 | 8年以上 | 8年以上 |
指定学科の一覧
1級/学科(第一次検定)の受験資格
建築施工に関する実務経験が以下の通りある者。
学歴 | 指定学科 | 指定学科以外 |
---|---|---|
大学卒業者 専門学校卒業者 ※高度専門士に限る | 卒業後3年以上 | 卒業後4年6カ月以上 |
短期大学卒業者 高等専門学校卒業者 専門学校卒業者 ※専門士に限る | 卒業後5年以上 | 卒業後7年6カ月以上 |
高等学校卒業者 中等教育学校卒業者 専門学校卒業者 ※高度専門士、専門士以外 | 卒業後10年以上 | 卒業後11年6カ月以上 |
その他の者 | 15年以上 | 15年以上 |
2級合格者 | 合格後5年以上 | 合格後5年以上 |
1級/実地(第二次検定)の受験資格
1級の学科(第一次検定)の合格者。
詳細についてはHPを確認ください
受験資格については特例やもう少し細かい条件も設定されています。上記に該当しない場合でも、建設業許可を持っている業者での主任技術者の経験があれば必要年数が短縮されるケースなどがあります。詳細を知りたい方は建築振興基金のHPを参照下さい。
建築施工管理技術検定の内容と合格基準
建築施工管理技術検定の試験内容はそれぞれ以下の通りで、合格基準は全て60%以上の得点となっています。
※令和3年度の試験内容を参考にしており今後変更になる可能性があります
2級建築施工管理技術検定/学科(第一次検定)
試験内容:建築学等、施工管理、関連法規に関する択一式試験
試験時間:150分
合格基準:得点が60%以上
2級建築施工管理技術検定/実地(第二次検定)
試験内容:各種別ごとの施工管理に関する択一及び筆記試験
試験時間:120分
合格基準:得点が60%以上
1級建築施工管理技術検定/学科(第一次検定)
試験内容:建築学等、施工管理、関連法規に関する択一式試験
試験時間:270分
合格基準:得点が60%以上かつ施工管理科目の得点が60%以上
1級建築施工管理技術検定/実地(第二次検定)
試験内容:施工管理に関する択一及び筆記試験
試験時間:180分
合格基準:得点が60%以上
建築施工管理技術検定の合格率
建築施工管理技術検定の合格率は、2級が学科(第一次検定)で30~40%、実地(第二次検定)で20~30%で推移しており、1級は学科、実地ともに30~40%で推移しています。合格率だけを見れば2級の方が合格率が低く難易度が高そうに感じますが、これは1級受験者の方が受験資格の関係上、実務経験が豊富であることが原因と考えられます。
合格率の推移
2級学科(1次) | 2級実地(2次) | 1級学科(1次) | 1級実地(2次) | |
平成26年 | 47.9% | 33.5% | 41.6% | 40.2% |
平成27年 | 48.5% | 32.7% | 43.6% | 37.8% |
平成28年 | 51.9% | 38.9% | 49.9% | 45.6% |
平成29年 | 38.7% | 28.9% | 39.7% | 33.5% |
平成30年 | 25.9% | 25.2% | 36.6% | 37.1% |
令和元年 | 34.7% | 27.1% | 42.7% | 46.5% |
令和2年 | 35.0% | 28.2% | 51.1% | 40.7% |
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これから学習を始めたい方や、学科(第一次検定)は合格したけど実地(第二次検定)がなかなか合格できない、という方に非常にオススメな学習教材になります。
建築施工管理技士になるには?まとめ
以上、ここまで建築施工管理技士について、その概要や検定試験についてご紹介してきました。
建築工事に関わる方であれば、持っているとご自身のキャリアアップに非常に役立つ国家資格ですので、ぜひ一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。