「ウチでも技能実習生を受け入れたい!」そんな技能実習生の受け入れを検討されている建設会社の皆様に向けて、実際に受け入れるまでに必要な作業や具体的なスケジュールをどこよりも詳しく紹介していきます。
本記事のポイント
技能実習生の受入はまずは監理団体に相談
監理団体加入から実習開始まで半年は必要
実習計画や在留資格の申請等手続きが多い
技能実習制度について
技能実習制度は、開発途上地域の外国人を日本で受け入れ、日本の技能、技術又は知識を現場で習得し自国に持ち帰ってもらうことで当該地域の経済発展につなげる「人材育成」を通じた国際協力を目的とした制度です。建設業界では現在多くの企業がこの技能実習制度を活用しており、現場では多くの外国人が技能実習生として作業に従事しています。
この技能実習生の受け入れは企業単独型と団体監理型の2つの受け入れ方法があり、海外とのパイプがない多くの国内建設業社は監理団体を通じて外国から技能実習生を受け入れる団体監理型の運用をしています。
>>技能実習制度について詳しく知りたい方は「建設分野における技能実習制度について徹底解説!」を参照ください
技能実習生の受け入れ手順について
技能実習生を受け入れたい!と思っても、すぐに企業は受入れを行うことはできず、受入れまでには数多くの手続きを踏む必要があります。目安として技能実習生受け入れの検討を開始してから、自社で技能実習を開始するまでに最低でも半年程度は見ておかなければなりません。ここからは多くの企業が採用する団体監理型の受け入れ手順を順番に紹介していきます。
①監理団体への加入および求人申込み
技能実習生を受け入れる場合は、まず監理団体と呼ばれる非営利団体に受入れの相談をするところからスタートします。監理団体とは、技能実習生の受け入れをしたい企業から依頼を受け、実習生の募集から受け入れにかかる手続き、受け入れ後の実習生の生活管理までを代行し、また受け入れ企業の監査や指導も行う国からの許可を受けた非営利団体の事です。
現在日本各地に3000程度の監理団体が存在し、その多くが事業協同組合の形態をとっています。監理団体は実習生の受入れ後も生活面のサポートを代行してもらうことになるため、優良な監理団体を選ばなければ実習生の失踪や帰国につながる恐れがあります。建設分野や希望する国の人材にを強い監理団体を選んだり、すでに技能実習生を受け入れている同業者に利用している監理団体を紹介してもらうなど、優良な監理団体を選択できるよう注意を配りましょう。
②監理団体から候補者の紹介・面接実施
監理団体に加入し求人の申込みを行うと、監理団体が希望する国の送り出し機関に求人募集をかけ現地の人材を探します。候補者が集まれば、受け入れ企業が実際に現地に訪れたりWebなどを使って候補者の面接を実施します。そこで採用したい人材がいれば、受け入れ企業と候補者の間で雇用契約を締結し入国に向けた具体的な手続きに入っていきます。
③技能実習計画の作成および認定
実習生として受け入れる候補者が決まれば、受け入れ企業は技能実習計画を作成し認定を受ける必要があります。受け入れ企業は認定を受けた技能実習計画に基づいた技能実習を行う必要があります。技能実習計画の作成は監理団体からアドバイスを受けて作成するのが一般的で、またその認定申請は「外国人技能実習機構(OTIT)」に対して行います。認定申請は受け入れ開始予定日の6ヶ月前から可能で、必ず開始予定日の4カ月前までに申請をする必要があります。また認定審査に1~2ヶ月程度の時間がかかることも考慮しておきましょう。
④入国前研修および入国手続きの実施
技能実習計画の認定が下りれば候補者の入国に向けた手続きを開始します。主な手続きは実習生が日本に滞在し技能実習を行うために必要な在留資格の申請と、入国の際に必要な査証(ビザ)の交付手続きで、監理団体が代行してくれるケースが多いです。これらの手続きもおおよそ1~2ヶ月程度かかります。候補者が決まってから、技能実習計画の作成・認定~入国に必要な手続きの完了までは4カ月程度をかかるのが一般的で、その間に候補者は現地の送り出し機関で日本語教育などの入国前研修を受講します。
⑤実習生の入国および入国後研修の実施
ここまでの手続きが全て完了すれば、いよいよ技能実習生が日本に来日します。入国後はまず監理団体のもとで1ヶ月程度入国後研修を受講し、主に日本の文化や風習、日常生活におけるルールなどを学びます。この入国後研修は必ず実施しなければいけない義務となっています。
⑥受け入れ企業での技能実習開始
入国後研修が終了すれば、ついに受け入れ企業に配属され技能実習がスタートします。ここまでにおよそ半年程度の時間がかかりますので、技能実習生の受け入れは中長期的なスケジュールを組んで受け入れを進める必要があります。またここはゴールではなくスタートですので、実習開始後は受け入れ企業は適切な技能実習の実施を行う義務があり、定期的に監理団体の調査や面談を受けることになります。
ここまでの流れをまとめると下記のような手順とスケジュールで受け入れを進めることになります。
実習開始後の受入企業の義務について
技能実習生を受け入れる企業には多くの義務規定が設けられています。実習計画に基づいた実習の実施はもちろんのこと、技能実習制度の趣旨を理解し、実習環境の整備や実習生の環境面、生活面をサポートする責任も果たさなければなりません。
※そもそも受け入れ企業としての基準をクリアしていない場合は、実習計画が認定されず受け入れ自体を行う事ができません
受入企業の実習開始後の義務
・実習実施者届出書の提出
・実習計画に変更があった際の届け出
・帳簿書類の作成および保管
・技能実習責任者等の配置
・技能実習生の待遇の確保
・実施状況報告書の提出(年1回)
受入企業の義務については別記事で詳細を解説していますので詳しく知りたい方はそちらを参照ください。
技能実習生の受け入れ手順についてまとめ
以上、ここまで建設業者が技能実習生を受け入れるまでの手順について紹介してきました。
初めての方は必要な手続きの多さに面食らったかもしれません。しかし多くの手続きは監理団体がサポートや一部を代行してくれますので、そこまで心配する必要はありません。一方で、受入れを考えてから実際に技能実習を開始するまでに時間がかかる点は多くの方が見落としがちなため、余裕を持った受入れ計画を立てるようにしましょう。